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週刊Neue Fahne

2012年11月26日号

危険度を増しはじめてきた中堅社員の“ぶら下がり”への備え

「管理職になりたがらない中堅社員が増加している」といわれ始めて久しい。その背景や原因について様々にいわれているが、彼らが自分の将来イメージ(自らの目標)と現実の職場=「働き」との間に明確な関係を築いていない点にも一端がある。
 職場である一定の経験を積んだ者は事あるごとに「ゆとり世代は困ったものだ…」を常套句にして溜飲を下げる。しかし、会社組織にとっては「管理職になりたがらない中堅社員」の存在がより危険である。「管理職になりたがらない」とは、言葉を変えれば“上を目指さない”ということでもある。つまり、仕事の質量が増えて責任の度合いも増してくる「昇進」を億劫に感じている訳だ。

 一方でこのような「管理職になりたがらない」人びとは、決して職場に満足をしているわけではないので、職場の問題点や至らない側面について陰ひなたで吹聴するなどの一層に始末に悪い存在になる危険性もある。こうした人びとは“上を目指さない”ためにマネジメントする側に回りたいという意欲がない。
 会社や上司からの指示に対して「自分には無理です…、出来ませんよ…」であるとか、「わが社は他社と比べて商品力が弱いから…」などと繰り返す。要するに自らリスクを負うということを厭う。
 従って、現在の職場で日々の日常を平々凡々と過ごすことになる。まして自分を生かす新たな職場を探し転職しようなどという行動は起こさない。かくしてこの種の中堅社員は職場に“ぶら下がる”存在となってしまう。

 こうした傾向は一般社員にも伝播することに注意しなければならない。たとえば、営業社員が商談で成約のできなかった理由として「自分なりに精一杯の努力をしたつもりですが、いまはどこも不景気ですから仕方がありません。これ以上のプッシュは無理だと思います」という具合だ。これでは単なる評論で終わってしまう。
 また、「先方ではこういっていますので、対処したほうがいいかもしれないのですが…」と、あいまいな表現や語尾を濁す報告に終始する傾向などだ。会社や上司からすれば「いったい、誰の立場の発言なのか」と疑いたくなるような報告が平気で行われる。
 そもそも無理か否かは状況を正しく分析し、その案件の可能性も含めて会社や上司が判断することである。会社や上司からすれば「ネガティブな発言をする前にマイナス状況をはね返す、積極的な発想や提案が欲しい」と思うものだ。しかし、彼らの発想は「そうした仕事は経営陣や管理職の仕事だ」と思い込んでいる。

 しかし、こうした社員は決して自然に職場から立ち去っていくわけではない。それは、本人たちにとって「不満」はありつつも、ある種の「居心地」の良さを感じているからだ。また、現在の経済状況からするならば、退職してもすぐに新たな職場が見つかる保証がないことを本人たちが何よりも自覚している。
 そこで、自己保身が“ぶら下がり”となってあらわれる。組織内の一部にこうした“ぶら下がり”化が顕在化し始めたならば、潜在的な“ぶら下がり”意識を払拭するための育成措置を施しながら、早期に育成効果が「期待できる層」と「期待できない層」を峻別していく必要がある。
 

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