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週刊Neue Fahne

2012年12月24日号

何を基準とし働き、何を持って自らの存在理由を誇示するのか

 ビジネスはしばしば戦場のようにたとえられる。曰く「会社は生き残りを賭けて戦い、敗れた会社は市場からの撤退を余儀なくされる」という具合だ。また、ビジネスの世界は戦略・戦術を駆使して、戦場で相まみれる様相を模倣して語られる。
 実際にビジネス用語の多くは軍事用語に由来している場合が多いし、ビジネス書においても何かといえば戦国武将や第一次、第二次大戦での武功のある将が比較されて論じられている。
 以前はしばしば会社組織の内部でも、他部署や同僚との競争に「しのぎを削る」ことが当然のように語られてきた。そして、競争の結果を「勝ち組」「負け組」などと短絡的に表現する風潮も存在していた。こうした考え方には当然、賛否両論があるだろし、単純な「二項対立」で語るべきものでもない。
 ただ、一つ言えることは企業組織には存続=(継続)しなければならないという冷厳な現実だ。そのために企業は利益を出していかなければならないということだ。そうである以上は、企業組織を構成する個々人には企業の利益に如何に貢献するかが問われるということだ。

 一般的な「競争」という概念それ自身を「健全なものである」と捉えるか、あるいは「不健全なものである」と捉えるかは、最終的には一人ひとりの「価値観」や「矜持」に委ねられるものだ。一昔前のことだが並み居る報道陣を前にして、当時話題のファンドの某氏が「儲けることは悪いことですか?」と言い放った。彼の発言は、誰しも反論することのではない自明の理をもってして周囲を煙に巻いたものだった。
 つまり、「儲けてはいけない」などいってしまえば、会社は存続してはならないということになるのが必定だからだ。また、「儲け方に問題がある」などと反論したならば、某氏は恐らく「では競争を否定するのか?」と切り返しただろう。問題なのは儲けることの是非ではなく、自らの働きにおいて何を基準とし、何を持って自らの存在理由を誇示していくのかという姿勢ないし思想性ではないか。

 当然のことながら企業が利益を出すために互いに相応の「企業間競争」が存在する。一方で、企業内では個々人が成果や目標の達成度合いを掲げて「競争」するのは当然の行為である。
 競争である以上はビジネスの世界では、「謙譲の美徳」という言葉はそぐわない。古くから日本人の美学とされてきた「他人を立てて、自分は出しゃばらない奥ゆかしさ」といわれている「謙譲の美徳」は、自ら積極的に行動し、自己を主張しないことを自己弁護するために用いられてきた感さえある。
 さらにいえば自ら行動や主張をしない代わりに「責任を問われない」という自己保身にさえ用いられてきた。

もちろん、競争にはルールが存在している。「誰にもわからなければ…」「法律に抵触しなければ…」などという発想は通用するはずもなく、社会的存在としての倫理から逸脱したならば、人も企業も社会から退場を迫られるのは必定だ。

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