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週刊Neue Fahne

2013年07月22日号

部下育成が出来ない管理職は会社に損失を与えていることになる

「部下を育成の必要性は分かってはいるが、忙しくてその時間が…」とこぼす管理者が多い。「分かってはいるがなかなか…」との反応ならばまだしも、なかには「自分は業績を上げなければならない。いちいち部下指導などしていられない。若手の教育は人事担当者の役割だ」と平然と居直る者がいる。
 この「居直り」的な発言は「天に唾する」ことに等しく、管理職自らの「成長」を疎外するものだ。

「分かってはいるがなかなか…」との反応は、部下育成の必要性を感じてはいるが、管理職自らが仕事を抱え込んでしまっている実情があるのではないか。こうした管理職の心理は以下のようなものだ。
1.部下に仕事を覚えてもらわなければならないが、実は自分でやったほうが速い。
2.部下に任せたいのはやまやまだが、正直危なっかしくてまだまだ任せられない。
3.時間が限られていなければよいが、当面「仕事の納期に間に合わない」ので、部下に任せてクレームが発生するのが怖い。
4.部下に任せるより自分で作業をしていないと落ち着かない。
5.教えている余裕以前にそもそも「部下の側にやる気が感じられない」と思ってしまう。

 こうした管理職の働き方は、一見すると「バリバリ仕事をこなしている」と周囲に映る場合もある。一方で視点を変えるならば、「自分が…、自分が…」という自己中心的な働き方を繰り返しているに過ぎないとも映るものだ。確かに目先のことを考えると、管理職やベテラン社員が仕事をこなしてしまうほうが安心で、しかもスムーズである。
 しかし、こういう管理職のもとでは、未熟な部下はいつまでも取り残されてしまい、結果として「いつまでも後進が育たない」という現象がおきることは必定だ。また、自己中心的な管理職は「部下育成に手をかけたために、業績が落ちた」と思われたくない心理も働くだろう。
 これは本人の自己満足であり、会社組織にとって最も危険な兆候である。何故なら、職務が属人化してしまい組織的機能が失われるからだ。これでは管理職本人や部下に留まらず会社組織の損失である。つまり、「部下・後輩を育成することができない」管理職は自らの評価を低めるだけではなく、会社組織に損失を与えていることになる。

 とりわけ、厳しいコスト管理と人員管理を強いられ、人的資源が限られている今日の経営環境の下では、「いつまでも後進が育たない」という悪循環を断ち切り、部下育成ができる仕組みを作らなければ、当該の管理職も疲弊することになる。
 企業組織に限らず「人材の育成」とは辛抱すること同意語でもある。何故なら部下育成には近道はなく、やり始めてすぐに成果が出ることはないからだ。管理職から見れば「いくら教えてもまだまだ…」との思いや「まるでザルで水をすくう様だ」と感じることもあるだろう。
 しかし、この思いを“辛抱”して乗り越えられるか否かが育成の成否の分かれ目である。つまり、管理職は手をかけ、時間をかけ、部下育成を行うことを、苦痛と感じてはならない。
 部下育成と業績は決して二律背反ではない。業績が向上しなければ、部下も育ったことにはならない。従って、部下育成は会社組織の組織力を計るバロメーターでもある。

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