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週刊Neue Fahne

2014年01月20日号

管理職は万能である必要も部下と競う必要もない

 多くの管理職は部下からの仕事上の相談に対して、常に「結論」(答え)を出そうとする。あるいは相談内容を聴き終わる前から、自分なりの「結論」(答え)を出してしまっているケースもある。しかし、これでは部下は育たない。何故なら相談に来る部下が、自分の頭で考えないようになるからだ。こうしたことを繰り返している間に、部下の側は何時しか「上司が○○といったから…」「上司の指示をこなしていればよい…」という姿勢が“習い性”になる。

 一方でこうした“習い性”になってしまった部下に接する管理職の感情はどうなるだろうか。恐らく「何も考えずにいわれたことしかやらない奴だ」との思いが長じて、何時しか「使えない奴…」と評価してしまう。人材育成からすれば正に「負のスパイラル」となる。
 管理職は常に「結論」(答)を出す必要はない。いや、そう簡単に「結論」(答)が出せるほど、今日のビジネス環境は単純ではない。脅迫観念に憑かれたように部下からの質問や相談に対して、即座に答えを出そうなどとすると、逆に過去の経験や価値基準でしか判断出来なくなるものだ。その結果は時として「パワーハラスメント」としてあらわれたりもする。

 もちろん部下が状況判断を誤り、答えを間違っている場合は、正しい状況が把握できるように情報を補足する必要はある。しかし、管理者が部下に代わって「答を出そう」とすると、結局は管理者が話し続けることになる。悪くするとその「話の内容」はお説教へと転化してしまうものだ。管理職が陥るのは、“すべてのことで部下よりも優位であるのが管理者に求められる”という思い込みだ。
 こうした思い込みは、業務が大きく変化しない時代には通用したかもしれない。しかし、今日のグローバル化の中でビジネス環境は目まぐるしく変化している。過去の手法はまったく通用しないばかりか、今日覚えたスキルや情報がわずかの期間に変更を余儀なくされる時代だ。過去に蓄積された能力が万能で不変であるはずがないのは自明のことだ。

 もちろん管理職は仕事上での判断、アウトプットする成果に対して、部下よりも優秀な面を持ち合わせていなければならない。しかし、部下に対して1から10まで教えなければならないと思ってしまうのは間違いだ。管理職が部下にすべてを教えようと思っても、実質的にそれは不可能である。管理職が部下よりも不慣れな事柄は沢山存在している。管理職自身が不慣れな事柄を無理してやるよりも、慣れた部下に担当させた方が業務としてスムーズにことが運ぶ場合もある。
 管理職が考えなければならないのは業務全体の最適性である。この観点に立つならば部下と不慣れな面で競う必要はまったくない。管理者にとって人材育成とは、部下の資質をしっかりと把握したうえで、その人が育つための環境をつくってあげることである。

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