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週刊Neue Fahne

2014年08月11日号

管理職は“今現在の自己能力”を基準に部下指導をしてはならない

 同じミスをなんども繰り返す部下。指示をしなければ何もしない部下。指示した仕事に「忙しくて時間がない」といってなかなか手をつけない部下。仕事の優先順位がメチャクチャで何事も中途半端な部下。何時も要求するレベルに達しないため、いちいち手直しが必要な仕事ぶりに終始する部下。注意されていることの意味を理解できない部下。
 入社早々の新入社員であればまだ「仕方がないなぁ…、企業人の初歩から育てなければ…」と思うことができる。しかし、一定の社歴があったり他社でのキャリアを積んだはずの中途社員がこの種の態度を示すと、管理職は部下にたいして「仕事のデキない奴」という判断をしてしまうものだ。

 もちろん、管理職は自分の価値基準や単なる情意で根拠なく部下にレッテルを張ってはならない。規模の大きな組織体であれば、この種の「デキない奴」であっても周囲から見過ごされるケースが多い。なぜなら、本人は大勢に隠れていることもできるし、場合によっては部署を「たらい回し」する余裕があるからだ。
 ところが、規模の小さな組織では、隠れることも「たらい回し」する余裕もない。つまり、部門間移動や職域変更ができないため、「デキない奴」と判断された者であっても当該部署に居続けることになる。すると必然的に組織体に軋轢を生み出すことになる。
 そのもっとも典型的な例が「デキない奴」の同僚が管理職の不満を先取りして「デキない奴」への批判の急先鋒になってしまうことだ。こうなると管理職は組織の統制をとることができなくなり、結果的に「デキない奴」は自然淘汰されていく。

「デキない奴」を排除することは簡単だが、得てして「デキない奴」は再生産されてくる。そこで管理職は「デキない奴」と思われる部下の状況把握をしっかりと行う必要がある。つまり、冒頭にあげた部下の素行が発生している原因が、本人の問題なのか、それとも指導上の問題なのか、という峻別をしっかりと行うということだ。
 指導上の問題とは、管理職の側が「デキない奴」にたいして本人の能力以上に過度の期待をしてしまうということだ。実は管理職にとっての部下指導では、どうしても自分本位になりがちであることを自覚しておく必要がある。管理職は自分が培ってきた現時点の能力を基準にして部下指導を展開しがちになるものだ。そのため「自分にできることは、他人もできるはずだ」という錯覚に陥る傾向が強い。

「デキない奴」と管理職が思ってしまう部下のほとんどのケースは、本質的に自分の仕事の目的や意味を理解していない場合が多い。そもそも仕事の目的や意味理解できない者は、自覚的仕事に取り組むことができるはずがない。仕事の目的や意味理解は企業人の基本的な能力である。
 この能力が未成熟の者にたいして過度の期待は禁物であり、指導としてはまず、この意識形成からやり直す必要がある。もっとも意識形成は指導というよりもメンター機能でもある。
 管理職はこの意識形成を軽んじているといつまでたっても「デキない奴」はできないままに終始する。そして、その末路は自然淘汰になる。もちろん管理職が意識形成に向けての相応の支援を繰り返しても「デキない奴」の意識変容がないのであれば、単なる作業工数を担ってもらうという「見切り」も必要となる。

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