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週刊Neue Fahne

2015年01月19日号

管理職には“部下の成長”を促す「役割責任」がある

 人は誰しも「今のままでありたい…」という現状維持の意識がはたらくものだ。一般的にいえば“変化への恐れ”だ。特に過去に一定の成功体験や経験則などがあればなおさらだ。
 仮に成功体験などがなくとも、与えられた業務内容を日々粛々とこなすことに慣れている者にとって「変わること」や「変化の要請」には、“これまでの自分が否定された”と捉えてしまう傾向がある。

 企業組織において管理職ないし上司は、部下の能力向上を図ること、すなわち部下を育成するということは自らの「役割責任」である。そのために上司の側は部下の成長を期待して日常業務でのOJTを通じたり、社内外の研修に出席させたりして、その育成に日常的にエネルギーをかける。
 これらのエネルギーは当該管理職だけではなく、まさに会社組織全体での育成への取り組みということになる。しかし、ここで問題になるのが育成の対象である部下の意識だ。部下は“みずから成長し、成果を挙げようという意識に希薄である”という点をつかんでおく必要がある。

 せっかく会社や上司が部下の成長やスキル向上のために学習の機会を設定しても、この機会を十分に活用しない部下も多いのも現実だ。それは研修に限らず会社が提供する学習機会に対し、部下の意識は往々にして「やらされている」という義務感が先行するからだ。
“学び”が自分の能力向上や仕事の一環だという意識は、上司が期待しているよりはるかに希薄なのだ。与えられた機会を大いに活用し、自らの糧にしようという意識に乏しく、“学ぶことは面倒である”という意識が先行してしまう。

 当然、これでは研修の成果もトップや幹部が思うほどには上がらない。OJTにしても、そもそも社員の成長意欲が乏しければ上司の指導に対する真剣さや感謝の気持ちが希薄になるものだ。これでは能力向上に結びつかず、現状維持の気持ちが、社員の自己成長を阻むことになる。ここで“学びの提供”を管理職や上司の側が諦めてしまっては、部下のみならず管理職や上司の成長も止まってしまう。
 では、こうした成長意欲を阻害する「現状維持の意識」をどのように変えていくのか。確かに“自ら学ぶ意欲のない者に対して会社は学びの機会を提供する義務はない”。これは学びを怠る管理職に対して言及したドラッカーの名言だ。しかし、若手社員にまでこの意識を求めるのはさすがに酷な面もある。

 そこで、管理職は部下に成長することの意味と期待を明確に示し続ける必要がある。たとえば社内外の研修であれば、その目的や意義を明確にして、研修は仕事の一環であることをしっかり理解させなければならない。また、日常的なOJTであればなおさらだが、必ず到達目標を設定して半期ごとに成果を確認し合うことが必要になる。
 もちろん、これらの成果はきちんとした評価を伴っていなければならず恣意や情意があってはならない。管理職の側が部下の成長を促していく「役割責任」を果たすことが、自らの“学び”にもつながっていく。

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