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週刊Neue Fahne

2016年03月28日号

管理職にとって若手育成とは、自らの仕事のやり方を問い直す行為である

 新入社員を受入れる季節になってきた。新入社員に限らず若手社員が挙げる退職理由には、常に「職場の人間関係」が上位にあがってくる。しかし、退職に至る原因を単に若手社員の“ストレス耐性”の弱さに求めてはならない。
 もっとも管理職は若手社員の育成にはある程度の時間がかかり“正直にいって面倒くさいものである”という思いを抱くことを否定する必要もない。ただし、管理職には若手社員の育成から逃げだすことはできないし、責任を持たなければならないという覚悟が必要だ。

 管理職は自分よりも一回りも二回りも年齢が異なる若手社員を前にして、はれ物に触る態度を取る必要はない。一方で自らの若い時と比較して妙な競争心を抱く浅はかな行為は禁物だ。ただし、管理職が若手社員に対して接する時に心がけなければならないことがある。それは、若手社員よりも“あらゆる職務能力において自分が勝っている”という自覚を持つことだ。
 併せて、全般的な“情報に対する優位性”を示すことだ。管理職の“情報の優位性”とは、単に若手社員よりも業務以外の多くの事柄を“知っている”という意味ではない。得られた情報を用いて「何を、どのように読み取ることができるか」という判断をするということである。管理職に情報優位性が備わっていなければ、若手社員からすぐに見限られることになる。

 管理職は自らの情報優位性に基づいて若手社員に教えていかなければならない最低限の事柄は以下の3点だ。
 第1は「集団の規範」
あいさつ、言葉づかい、態度、職場の規律など、企業人としてどう振る舞うべきかの手本を示し、比較的短期間で身につけさせなければならない。
 第2は、「仕事のやり方」
これは集団の規範と異なり、すぐに身につくものではない。順をおって課題を与え、スケジュールと段取りに基づいて時間をかけて、少しずつ「できること」のレベルを上げさせていかなければならない。
 第3は、「仕事の意味を語る」
与えられた仕事は会社のなかで、どのように位置づけられるのか。それを担当する立場の者は、会社のなかでどのような役割を果たしているのか。自らが行う仕事の前後では何が発生するのか。そして、自分が行う仕事は、顧客や社会全体に対してどのような影響を与えることになるのかを理解させなければならない。

 以上の3つの事柄の中でもっともお座なりになりがちなのが、第3の「仕事の意味を語る」行為である。管理職が仕事の意味を語るとは、社会と企業での成功と失敗経験をつんできたはずの自らの情報優位性の最たるものだ。仕事の意味を語れる管理職は若手社員を企業人として成長させ、仕事に対して前向きに取り組ませることができる“良きメンター”として機能することになる。
 管理職と若手社員との間には、本質的に社会的な経験に大きな差があるはずである。管理職はこの差を自覚するならば、決して「最近の新入社員は…」などという繰り言や愚痴を発することができない。逆にこの差に気づけない管理職は、管理職たる資格が疑われることにもなる。従って、管理職にとっての若手社員育成とは、自らの仕事のやり方を問い直し、仕事の意味を再確認していく行為でもある。

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