人材育成が社員と会社組織の協働を創りだす

HOME >週刊Neue Fahne(現場マネジメントの課題-2−評価基準の明確化は人材育成に直結する)

お問い合わせはこちらから 03-5297-1866

お問い合わせフォーム

株式会社ノイエ・ファーネ

東京都千代田区神田錦町1-4-8
ブロケードビル5階B

TEL.03-6260-5700 FAX.03-6260-5701

週刊Neue Fahne

2017年09月19日号

現場マネジメントの課題-2−評価基準の明確化は人材育成に直結する

 現場マネジメントでは個々のパフォーマンスをしっかりと評価しなければならない。評価の基本は単に「頑張っている」などという抽象的なものであってはならない。なぜならば誰しも一人ひとりは「自分はそれなりに頑張っている」と感じているものである。
 従って、「頑張っているか否か」などという評価の基準は、評価に恣意性と情意を持ち込むことになり信憑性を失うことになる。また、“経年により職務能力が向上するはずである”という発想は、もはや「年功意識」の残滓に過ぎず、払拭していかなければならない。

 現場マネジメントにとって「評価」の大前提は、“評価すべき対象は何か”を明確にする必要がある。さもなければ「評価」は何時しか曖昧となり、結果的に人材の流出につながることになる。「年功」による評価が主流の時代には、“社員の業務遂行能力は歳を経るごとに経験が積まれていくものである”という暗黙の了解がなされてきた。この暗黙の了解の下で処遇や報酬が決められてきた。しかし、今ではこのことが「評価誤差」が生まれる温床ともなっている。
「評価誤差」とは、評価者による「ハロー効果」「寛大化傾向」「中心化傾向」というバラつきだ。「ハロー効果」とは、ひとつ良いことがあるとそのことに引っ張られ、全てがよく見える傾向だ。また、「寛大化傾向」とは、評価する側の性格、自信の欠如や観察不足、抽象的な評価基準等により評価に対して甘さが生じることだ。そして「中心化傾向」とは、例えば5段階評価などで誰に対しても「3」の評価を行うという心理であり、評価者の責任回避にも繋がる。

 現場マネジメントに「評価誤差」が発生するのは、評価基準の曖昧さと評価者自身の「評価」への無関心さのあらわれでもある。「評価」への無関心は、人材育成に無関心になることと裏腹の関係でもある。従って、現場マネジメントが評価実践にあたって先ずしなければならないことは、組織を構成する一人ひとりに“何を求め、何を期待しているのか”を明確に規定することだ。これは判断基準を明確にするということでもある。「評価基準」となるべき観点とは直截にいえば以下の3点だ。
1.能力:業務を円滑に遂行する上で、必要で有用な知識や技術が蓄積されているか。また、その習得に向けての態度姿勢が明確になっているか。
2.実績:評価対象となる期間内に具体的に「何をやってきたか」という業務遂行の実績。
3.成果:業務遂行の実績を踏まえた上で、期間内にどのようなアウトプットを行ったかという結果。
この「基準」が曖昧であるならば、どのような評価システムを導入したとしても、結果的には評価者による「情意」が横行することになる。

 既に言い古されてはいるが、賃金とは年齢や勤続年数、あるいは将来的な「期待値としての能力」に対して支払われるものではなく、あくまでも業績に連動するものである。従って、賃金は企業業績を前提にして、一人ひとりの「仕事の内容と結果」に対して支払われるものである。つまり、あくまでも個々の業務遂行における「能力」、それによって生み出される「実績」と「成果」を明確な評価基準とする「ペイフォーパフォーマンス」でなければならない。
 もちろん現場マネジメントは単に数値管理をしていればよいというものではない。評価対象者の一人ひとりの「目標設定」に対する関与と支援を惜しまず、適時・適確なフィードバックを展開し、「評価」に見合った「ベネフィット」を提示していく必要がある。この評価プロセスは同時に人材の育成でもある。

一覧へ

ページのトップ