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週刊Neue Fahne

2018年01月22日号

現場マネジメントの課題 -17- 労働訴訟の要因はマネジメントの機能不全

 現場マネジメントを担う者は「会社で発生していることは、全て自らに関わりがある」との認識を大前提にしなければならない。とりわけ個々の従業員の業務行動をしっかり観察し、適時適切なフィードバックを展開する必要がある。現場で発生している事柄や部下の行動(とりわけ悪しき行動)に「見て見ぬふり」を決め込むならば職場秩序が崩壊する。
 現場マネジャーは常に「部下に正しいことを行わせる」という姿勢を堅持していなければ決して業績向上につながらない。企業の成長は単に個別従業員のモチベーションや本人の資質だけでなされるものではなく、組織モチベーションが不可欠である。そしてこれを司るのはあくまでも現場で展開されるマネジメントにかかっている。

 今日では現場でのマネジメントの機能不全が様々な訴訟に直結する危険性がある。とりわけ、「働き方改革」の恣意的な解釈や曲解による労働訴訟リスクが高まっているといっても過言ではない。労働法関連での訴訟は基本的に民事訴訟法によって損害賠償訴訟として争われる。しかも一旦訴訟ともなれば、仮に勝訴したとしても多くのエネルギーが費やされ本来の業務活動に支障を来すことになる。
 従来は訴訟対象が基本的に法人たる会社が被告となっていたが、最近は法人のみならず直接的に現場のマネジャーに対する訴訟が主流になっている。特に「ハラスメント訴訟」ではこの構造が顕著になっている。現場でのマネジメントをしっかりと機能させることは、企業組織を守るだけではなく、現場マネジャーが「自分自身を守ることでもある」ということを自覚しなければならない。

 現場マネジメントが扱う人事・労務領域は決して、人事・労務マネジメントが単独で行うものではない。なによりも現場における個々の従業員の業務行動に対して責任を持つのは、人事部門ではなく現場マネジメントである。また、組織系列から見ても人事・労務マネジメントは現場責任者を飛び越えて個別に指示を出すという立て付けになっていない。
 組織系列を乱すならば組織は組織として機能不全に陥ることになる。従って、現場マネジメントはこれらの人事・労務の守備範囲について一定の知識を有していなければ、現場を統治していくことはできない。現場マネジメントは人事・労務マネジメントの最前線であるとの自覚が必要となる。

 現場では勤怠管理一つとっても現場マネジメントの姿勢が問われてくる。現場でありがちな過去の成功体験や勘、さらには度胸に頼ったマネジメントは各種ハラスメントの温床にもなる。たとえば、退職した社員から法外な「未払い残業請求訴訟」を起こされ、あわてて人事部が調べてみたら、実は同僚に「タイムレコーダーの打刻」を依頼して残業時間を誤魔化すことが組織ぐるみで行われていた。しかし、結果として証拠を提示できず和解せざるを得なかった、というケースもある。
 この種のケースは明らかに現場マネジメントの機能不全の帰結でもある。さらに現場でのマネジメントの機能不全は、職場全体に「安全配慮」という意識も曖昧にさせ、事故を誘発させることにもなる。

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