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週刊Neue Fahne

2018年05月14日号

管理職に必要なのは部下へのブレない姿勢

 管理職が部下に仕事を任せる場合には「指示」と「お願い」を混同してはならない。「業務をお願いする」という姿勢では、部下を納得させて動かすという職務を回避することになる。「お願いする」というスタンスは、結果的に部下を甘やかし、仕事への厳しさを失わせることになる。
「お願いする」ということは、相手の好意に期待して、相手に行動の主導権を握られることだからだ。部下に主導権を認めるならば、「報告・連絡・相談」も機能しなくなり、進捗状況の把握もできなくなる。そして最終的には部下の自分勝手な振る舞いを容認することになり、ガバナンスが効かなくなるものだ。

 企業組織での仕事とは、上司の個人的なお願いごとではない。あくまでも業務行動の一環であることを忘れてはならない。部下に「自分に主導権を渡された」と錯覚をおこさせてはならないということだ。これは部下の自主性を尊重することと訳が異なる。つまり、部下が自分でその仕事を“やる、やらない”を決められると勘違いし、その時の状況や気分といった勝手な基準で判断させてはならないということだ。
 管理職は部下に仕事を任せて、結果も含めて最終的な責任を持つものである。この組織行動の前提からするならば部下を放任してはならない。もちろん、私事を挟んだ業務の采配などは論外であることを肝に銘じる必要がある。企業組織において部下に業務を振り分けるとは、「個人的なお願いごと」などではなく、あくまでも組織的な業務なのである。

 管理職が部下に業務を行わせる場合には、「部下に好かれたい、嫌われたくない」という邪念が頭をもたげる場合がある。部下への業務指示を「部下へのお願い」と混同している管理職は、“部下の意思に反してでも納得させてやらせなければならない”という上司として重要な職務を回避する心理がはたらいていることになる。
 この心理は直截にいうならば、管理職自身が自らの役割認知をあいまいにし、自らの弱みに気づいていないということになる。そして「部下は強制では動かない」であるとか「部下を褒めて伸ばす」あるいは「部下の自主的を尊重する」などという都合の良い方便が多用される。これは管理職の思い違いであり、部下心理の錯覚である。部下はこうした一見すると好々爺的な上司の言動や所作を「上司の弱み」として敏感に感じ取るものである。つまり、表面的には「あの上司は優しく、部下を尊重してくれる」といながら、実は軽く見るものである。

 管理職は企業組織が必要とする業務を、自分の権限において、部下を動かして遂行する立場にある。しかし、上司の部下に対する指示、命令、要求には合理性がなければならない。同時に部下に納得性を与えなければならない。部下が勝手な判断をすることなく上司の指示・命令に対して適時に報告・連絡・相談を展開するのは、部下自身が上司からの指示・命令に納得しているか否かにかかっている。
 部下に指示・命令を納得させるために管理職が行わなければならないことは、「仕事は組織の必要性にもとづいて行う」という原則を常に保持することである。「いま、何をやるべきか、何を優先すべきなのか」は、個人の都合で判断されるものではない。組織の必要性を基準として管理職が判断しなければならない。自分勝手な判断をする部下に対しては、上司はまず、自分の個人的な動機やそのときの気分・感情ではなく、常に組織の必要性にもとづいて仕事の指示をしていることを、ブレない姿勢を理解させる必要がある。

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