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週刊Neue Fahne

2018年10月29日号

上司が発する指示・命令への自覚と責任

部下は常に直属上司の顔色をうかがうものである。また、上司が単純に指示・命令を繰り返しているならば、部下は仕事の意味も理解することもない。次第に条件反射のようにいわれたことを自分の頭で考えることなく「言われたことを行うことが自分の仕事である」と思い込むようになる。
  この結果、部下は上司の命令に依存してしまい、ますます自分から何もしなくなっていく。あるいは、表面的には一生懸命やるふりをするが、上司の見えないところで手抜きやサボ始める。さらにコンプライアンスに対しても無頓着になる。必然的にこうした組織体は、一見命令には従順だが、各構成員の方向性がバラバラで目標達成への気迫がない集団となる。

  組織体がこうした者達の集団に陥る危険性は、単に末端組織に限ったことではない。組織体の各位階において上席の立場にいる者と下の立場の者との関で発生する。いまだに上席に立つ者が「命令を発する上席者、これを実行する部下」という単純で幼稚な上意下達関係でのみで組織を位置づける風潮がある。こうした組織体では上層に向かえば向かうほどこの傾向が強まり、各階層でたくさんの「裸の王様」が発生することになる。そして何時しか組織全体に悪しき忖度が蔓延することになる。
  単純な上意下達の繰り返しは、仕事を自分からはできない部下を作り出すだけではなく、組織全体の活性化を失わせることになる。ただし、これは上席者が行う部下への指示・命令を一律に否定することではなく、如何にして“何のための指示・命令なのか”という意味づけが必要であるということだ。

  部下が上からの指示・命令を自らのミッションとして受け止めることができるのは、指示・命令が明確なビジョンに裏打ちされているか否かで決まる。これは指示・命令を出す側が、自らの言葉で明確な組織方針を語ることの重要性でもある。人が充実した仕事を展開するためには、次の要素が最低限必要だ。
1.意味理解
「自分は大事なこと、社会に対してよいことをしている」という充実感
2.自己効用感
「自分はこうすればできる」という有能感
3.自己決定
「自分は自らの意志で参画した」という存在感
4.影響
「自分が周囲に影響を与えた」という達成感

  誰しも仕事の意味すなわち担当する仕事が、「会社や社会のなかでどのように役立っているか」を理解できなければ、仕事に達成感など持つことはない。また、成果に向けた道筋が不明確であれば不安になる。さらに一定の権限が委譲されていなければ「歯車意識」から抜けることができない。そして、仕事への関わりを通して自らの存在感が自覚できなければ、成長意欲も生まれない。
  部下への指示・命令には、単に仕事の効率だけではなく仕事を任せることによって、「仕事は自分事である」という意識を醸成させる視点が必要である。もちろん、仕事には失敗やリスクが存在している。しかし、指示・命令を発した側は“指示・命令を発して仕事を任せた以上、リスクをとるのは当然である”という覚悟を持たなければならない。部下は自らリスクテイクする自覚が乏しい上司に対して、決して自らの努力で応えようとするはずはない。

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