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週刊Neue Fahne

2020年10月05日号

ジョブ型雇用を踏まえた働き方 -7- 職務能力に裏付けられた仕事への執念

 企業組織で働くということは、決して「家族」の一員のように働くということではない。企業組織は単なる共同体ではないからだ。企業組織で働くとは共通の利益目標に向かって進むことを約した、個々人と企業との間の契約関係で成立している。極端にいえば企業組織とそこで働く個々人は、ある種の「同盟関係」であり永遠に続くとは限らない。
  企業組織は紆余曲折を経ながら成長していかなければならない。最初から順風満帆な企業などはあり得ず、様々な壁に突き当たりながら右往左往し成長していくものだ。この過程で企業の置かれた状況に応じて必要となる人材要件も変化してくる。当然ながらその時々で必要とされる業務内容も変化することになる。

  企業組織で働く者は常に安定を求めるものだ。しかし、今日の企業には恒常的な成長が保障されるわけではない。常に不連続的な成長とならざるを得ない。働く者が安定を強く望む気持ちが長じてしまうならば、企業組織の不連続性と整合性が取れなくなり、結果的にチャレンジ精神さえが薄れてしまうことになる。しかし、企業経営においては組織にどのような境遇が訪れたとしても、常に「次の一手」を模索し安易に現状に甘んじることはない。
  最終的に「撤退」を選択することになったとしても、経営は先ずは現状突破を考えるものだ。このような状況に組織が陥った時に組織を構成する一人ひとりは、自ら企業との間の「同盟関係」を解除することも当然許される。もちろん、経営の側からの「同盟解消」要請もある。しかし、こうした状況も自らのキャリア形成の一環であると捉えることもできる。ただし、自らが経営者感覚を持って「自分だったらこのようにする」という思いを持って対処する気概が必要となる。

  自らが方向性を示していくという行動は、正に経営感覚で対処しているという証明でもある。こうした姿勢は必然的に企業組織に迎合しないスタンスを形成することになる。一人ひとりの自立・独立した姿勢は経営にとって実に「頼もしい存在」となる。同時に周囲の同僚を勇気づけることにもなる。反面では組織にぶら下がっている者を炙り出していくことにもなる
  企業組織が危機やあらたなチャレンジの時期を迎える状況では、誰でも不安で自分自身のリスクを回避したいと考えるものだ。さらには自分よりも上席の決定権者がいる場合には、その者に「頼る」という気持ちが先行する。これは、自分に課せられている役割を上のものに仮託してしまうからだ。「自分以外に最終決断を下す者がいる」という安心感が、自らの責任感を希薄にしてしまうことにつながる。

 安定していると思える状況が続いている企業組織でこそ、「誰かが決定してくれる」という他力本願な思いが蔓延しがちだ。そして一つ一つの事象に消極的になり組織全体が澱んでいくことになる。この状況が新型コロナウイルスの蔓延を契機として多くの企業で露呈し始めている。企業組織の全般的な業績向上に対して、働く者一人ひとりに仕事に対する執念がなければ、企業の成長は止まってしまうことになる。もちろん、この「執念」は一人ひとりの職務能力に裏打ちされていなければ、単なる「根性論」で終わってしまう。
 一昔前であれば企業は自らの組織で働く者一人ひとりに対し、職務能力の向上に向けた同等の育成を施すことが可能であった。しかし、今日ではこれを企業組織は等しく平等に保証することはできなくなっている。端的にいえば企業は働く者一人ひとりに対し、その能力に見合わない業務を提供することはできない。そこで、働く者一人ひとりが自らの価値観を踏まえて自らの強みや仕事のやり方を通して、企業組織の成果に結び付けていくプロフェッショナルにならなければならない。

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