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週刊Neue Fahne

2020年11月09日号

ジョブ型雇用を踏まえた働き方 -11-「外発的動機づけ」のみに頼らない

 自分で物事を決定して実行に移し、そして成果を生み生み出していく、こうした経験を積み重ねていくことが自分のモチベーションを高めていく基本となる。しかし、企業組織では上下の関係や取引先との関係、ひいては同僚との関係などさまざまに複雑な利害関係が入り組んでいるのも現実だ。
 こうした関係は時として自分にとって「壁」となってのしかかってくることもある。しかし、誰もが経験することであり、企業組織ではこの「壁」から逃げることはできないと先ず自覚することだ。その上で少しでも自分の考える方向に組織を動かしていくためには、「いま何が必要なのか」という意識を持って日々の業務実践を行っていく気構えが必要である。

 業績や成果を生み出す基本として、業績(成果)=「やる気」×「能力」×「物の見方・考え方」×「環境対応」という公式が用いられる。この公式は各項目が掛け算であるために一つの項目でも「ゼロ」があれば、他の項目がいくら高い数値であっても結果は「ゼロ」ということだ。また、一つの項目でも「マイナス」であれば、結果はマイナスになってしまうということだ。
 なかでも「やる気」すなわち自らの「動機づけ」が果たす要素は、業績(成果)にとどまらず、日常生活にも非常に大きく左右するものだ。ひとは何事においても「誰のため」「何のため」という動機が明瞭で明確なときに自分の能力を発揮していくことができる。逆にいえば「動機」が不鮮明であれば、目的も曖昧になってしまうものだ。

 一昔前までは働きのうえでの動機づけは、「外的な要因に左右される」という考えが主流であった。つまり、「報酬」や「地位」という外部からの要因が「動機づけ」に大きな要素となるという捉え方だ。しかし、「働く動機づけ」について、こうした「報酬」や「地位」のみを基準としていては、ひとが仕事自身の中に本来見出すはずの楽しみ、興味を奪い去り、無味乾燥できまりきった退屈なものに変えてしまう危険性もある。
 いくら金銭的な「報酬」や権限としての「地位」が増加しても、自らの仕事に楽しみや興味が持てなくなれば、それは単なる「苦役」へと転化してしまう。もちろん、自らの働く動機づけとして「報酬」や「地位」が無意味であるわけではない。働く動機づけの一つとして、「報酬」や「地位」という要因を否定する必要はない。注意すべきは一方的に自らの働く動機づけをこうした「外的な要因」だけに頼っていると、仕事が持っている本来の意味や自分の果たすべき使命が曖昧になってしまうということだ。

 自らの働く動機づけは、周囲の人びとからの惜しみない「感謝の言葉」、難しいと思っていた仕事をやり遂げた時の「満足感」、優れた成果を上げられた時の周囲からの「承認」、があってこそ持続するものである。これが自らの働きと社会との関係性を意識することにもつながる。そして、これらは自らの働きをプロフェッショナルと位置づけるか否かにかかってくる。プロフェッショナルな働きに徹する試金石は、単純化するならば「相手に満足してもらえる価値を提供できたか」「専門スキルをビジネスの結果に結びつけ、実績になったか」「なんとしても結果にコミットする意識でやり切ったか」を常に問い続けることである。このことが自らの働きに対して、報酬(対価)に値する価値ある役割を提供することになる。
 プロフェッショナルな働き方においては、自らの働く動機づけを単に外からの刺激に頼るだけではなく、自分が何らかの働きかけをすることが可能であるという感覚を持ち続けることが必要ということだ。こうした感覚は自分が仕事上での行為・行動の主体であると確信していること、自分の行動を自分がしっかりと統制しているという信念、自分が外部からの要請に真摯に対応しているという確信をもった働き方につながっていく。

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