人材育成が社員と会社組織の協働を創りだす

HOME >週刊Neue Fahne(ジョブ型雇用を踏まえた働き方 -16- 自分基準への固執が組織の活性化を阻害する)

お問い合わせはこちらから 03-5297-1866

お問い合わせフォーム

株式会社ノイエ・ファーネ

東京都千代田区神田錦町1-4-8
ブロケードビル5階B

TEL.03-6260-5700 FAX.03-6260-5701

週刊Neue Fahne

2021年01月18日号

ジョブ型雇用を踏まえた働き方 -16- 自分基準への固執が組織の活性化を阻害する

 ひとは他者を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて、他の特徴についての評価が歪められてしまうことがある。たとえば、新卒採用の現場でありがちなケースが単純な学校のランク付けが判断基準になる場合だ。本来は自社にとって必要な要件を満たしているのか。あるいは自社で活躍できるポテンシャルがあるのか否かなどが採用基準であるはずだ。しかし、往々にして本来関係ないはずの出身大学が選考基準に影響し、有名大学を卒業しているという理由で「優れているはずだ」と思いこんで採用してしまう…。
 中途採用でも同様のことが度々発生する。典型的なのが「〇〇企業に勤めていたから優秀に違いない…」というケースだ。極論だが中途採用の場合には特に「○○企業出身」というブランドに対する思い込みによる採用が、後々に組織内に大きな軋轢を生むことがある。こうした現象は「ハロー効果」(光背効果、後光効果)と呼ばれている。

 採用のみならず日常の仕事の現場ではこの「ハロー効果」に注意していなければ、自分の仕事ぶりと同僚や部下の仕事ぶりを客観的に見比べることができなくなる。時に自分にはない能力を持っている者に対しは、過度な評価を行うことになる。逆に自分には簡単なことでも上手く出来ない者を過度に否定してしまうものだ。こうした「ハロー効果」による認知のズレが発生する危険性が常にあるということを自覚しておく必要がある。
 ひとは常に自分基準で他者を判断しがちだ。しかし、企業組織では特殊な専門性が求められている部門を除いて、同僚・後輩、上司との協働なくして成果を生み出していくことはできない。仮に自分の部下・同僚にミスは少ないがマイペースでしか仕事ができないタイプがいたとしたら、どう評価をくだすだろうか。「あいつは仕事が遅くてダメだ」とマイナスの判断をするか。それとも「仕事は遅いが、確実に仕事をこなす」と考えるか。

  ひとは自分と同じ行動特性を持っている者や、同じものの考え方をする者に好意を持ち、理解を示しがちだ。こうした傾向は、ある意味当然でもあるが、自分と同じタイプの者ばかりを評価し、自分と異なる特性を持った者を排除し始めたならば組織は成立しなくなる。とりわけ、新人を育成する場合には「人間にはハロー効果が付きまとうものである」という自覚をしておかなければならない。
 この自覚がなければ結果的に自分と意気投合する者以外を排除したりし始めることにつながる。そして行くつく先は組織の「派閥化」を招くことにもなってしまう。これでは当然のことながら、組織の活性化は損なわれ活力が失われてしまう。さらに、自分の基準だけで部下・同僚の仕事ぶりや行動を判断してしまうならば、自分自身の思考の幅を狭めてしまうことになる。

  同じ思考パターン同士が集まった組織は、一見するとまとまりがよく見える。また、阿吽の呼吸の雰囲気にもなる。しかし、この空気感が実は組織の活性化を阻害することにもなる。
本来、組織とは自分と異なる考えを持っている者同士が、互いの価値観の違いを尊重しつつ意見をぶつけ合い新たな方向を見出すことで、既成の枠にとらわれない新たな発想が生まれるものだ。
  これが職歴、価値観などの内面の属性にかかわらず、それぞれの個を尊重し、認め合い、良いところを活かすという意味での「ダイバシティ&インクルージョン」だ。単に自分の基準に囚われず、組織内の異質な個性を評価できる姿勢を持つことが、自分のみならず組織全体のモチベーションアップにつながる。

一覧へ

ページのトップ