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週刊Neue Fahne

2021年03月15日号

テレワーク下でも普遍なマネジメント姿勢 -3- 上司が自分の仕事観を部下に語る

企業組織において上司の立場の者は、組織の目標に向かって利益に沿うように部下を活用しなければならない。これは役割を背負うということだ。上司はこの役割を組織から任されているため、上司の発言力が必然的に強くなるものだ。有り体にいえば上司の発言に真っ向から抗う部下はいない。さらにいえば上司は部下に対して直接的ではなくとも「評価をする側」という意味での人事権を持っている。
  上司の側は極端にいえば公正性のある評価に基づかず、単に自分とそりの合わない部下に対して低い評価を下すこともできる。当然ながらこの種の公正性を欠いた評価が原因により部下が退職する場合もある。これとて広義の意味で上司の人事権の行使である。これは本人が意図していなくとも、結果的に自分の力の誇示や私利私欲によるマネジメントに他ならない。

 上司が部下を活用することができるのは、あくまでも組織の利益目標に沿ったうえでのことである。そして、このためにのみ上司は組織から役割というパワーが与えられている。従って、このパワーは組織の利益のためだけに使うことが許されている。単純にいえば公正性を欠いた部下の評価は、私利私欲による「パワーの乱用」と同様であるということだ。
  この種の「パワーの乱用」は、無意識に行われるケースがほとんどであるため始末が悪い。いまだに部下を組織の目標以外に活用する上司の「パワーの乱用」が多くの現場で散見される。一昔前であれば部下を夜遅くまで飲みに連れまわす行為も「パワーの乱用」であった。今日では上司から無意味な「リモート飲み会」の設定なども公私混同による「パワーの乱用」と同種である。

 上司による公私混同は必ず部下の組織に対する貢献意欲の芽を摘むことになる。今日では、企業組織の中で上司の顔色を窺いながら「それなりに業務を遂行してさえいれば、しだいに地位が向上していく」などという牧歌的なキャリアパスなど保証されていない。何よりも今日の若手社員は、このことを肌感覚で理解している。一方で年齢にもよるが今の上司の側は、自らが若手の時代に多かれ少なかれ牧歌的なキャリアパスを描くことができた世代からの指導を受けてきた。
  このため、組織内で経年により「ところてん式」に職位も上がっていくであろうという年功的意識という残滓がある。若手社員はこうした上司を決して自らのロールモデルにはしない。いや、もはやできないことを知っている。一方で上司の年功的意識残滓は部下が見せる組織への帰属意識の希薄さを単純に「やる気のなさ」に直結させて理解しようとする。直截にいえば「やる気のなさ」としか理解できない。そしてこうした理解でのみ部下との関係で優位性を発揮しようとしているに過ぎない。

 上司は「自らの経験則に基づいて部下への意欲づけをする」などと発想すること自体が誤りであると自覚しなければならない。上司が部下に示せることは、組織内での上下関係を誇示することではない。まして、二言目には「若いやつらは…」などと愚痴をいって留飲を下げることでもない。この種の行為は部下を育成する役割を放棄するだけではなく、自分自身を欺くことにつながる。
  上司は部下に対してあくまでも自分自身の仕事に対する意欲やこだわりを示していかなければならない。つまり、自分自身の仕事観を自分の言葉で部下に率直に語るということだ。この際に部下に対して上司自身が「自分は何がやりたいのか」「自分は何ができるのか」「自分は何をやるべきなのか」を明確に語っていくことを基本スタンスにしなければならない。

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