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週刊Neue Fahne

2021年09月27日号

高齢者雇用と中高年の再就職 −3− 継続雇用を「中途採用」と位置づける

 努力義務とはいえ70歳までの継続雇用は、企業に従来の人事マネジメントの転換を迫ることになる。直截にいえば継続雇用者を抱えながら、組織の生産性を向上させる仕組みを整備しなければならないからだ。現状においても定年後の継続雇用者に対する処遇や賃金で訴訟が絶えないことから勘案するならば、しっかりとした社内制度の整備・確立が迫られることになる。
  現場のマネジメントにとっても継続雇用者への業務指示の在り方、既存社員との間で発生が予想される各種軋轢の解消、継続雇用者と既存従業員の双方のモチベーション把握や気配り等、大きな負担が予想される。とりわけ、肩書がありつつ定年退職時に部下もなく、意識的にも「ぶら下がり思考」が抜けないままで継続雇用に移行した者への対応は、現役の現場マネジメントに大きな負荷となる。

  誤解を恐れずにいえばこれまで企業の定年制は、企業にとって一定の年齢に達した従業員に対して合法的に「解雇権」を行使できる制度であった。定年制は従業員に対して「年功制度」と「終身雇用」に区切りをつけさせる出口でもあった。とりわけ「ぶら下がり思考」に浸かったままで定年期を迎えた従業員に対して、この機能が十分に作用した。しかし、労働法制の改正による企業への高齢者雇用や定年延長ないし廃止要請は、この「合法的解雇権」が実質的に反故にされたようなものだ。
  確かに企業内には就労意欲が高く職務能力に長けている高齢人材も存在する。こうした職務経験を通して培った様々な経験を有する人材の活用は、若手の育成をはじめ様々な部門での業務の伝承に寄与できる可能性もある。ただし、これはあくまでも個別ケースとして処理されてしかるべき問題である。本来の継続雇用とは正にこの種の人材を継続雇用の対象としているのであり、定年により一旦解約された労働契約が自動延長されるわけではない。

  企業は「ぶら下がり思考」の高齢人材を内部労働市場に抱え込んだ状態で、既存従業員との間で発生する軋轢に対処しなければならない。これは生産性を論じる以前の課題でもある。この問題は従来の人事マネジメンを踏襲では解決できない。今後の少子高齢化を見越したうえでの採用、配置、評価など人事マネジメント全般の整備と再構築が不可避となる。人事マネジメントの仕組み整備とは、継続雇用者への意識変容を促すソフトランディングを基本としつつ、単に「存在しているだけ」の不良継続雇用者に対し、ハードランディングで対処することも含まれるということだ。
  今後70歳までの継続雇用さらには定年延長をめぐる混乱があちこちの企業で起こることが予想される。定年延長や継続雇用においては「法律だから仕方なく、在席させておく」という発想では、既存社員との関係性を悪化させる。同時に「ぶら下がり思考」の高齢人材はますます、ぶら下がりをつよめることになる。この意味で継続雇用は今後の企業の人事マネジメントの帰趨を左右する問題といっても過言ではない。

  70歳までの継続雇用に備えて企業が喫緊に着手しなければならことがある。それは、定年後の従業員に担当してもらう業務の策定と各業務の内容に対応した賃金の確定である。そのうえで各業務に定年を迎えた“誰が最適であるのか”という配置計画である。つまり、こういう業務でこういう人が欲しいというのを明確にリストアップすることである。決して退職前の業務を自動的にスライドさせてはならない。あくまでも「業務内容」に適任の退職者を配置することが重要となる。これは定年退職者を迎える従業員の「選別的な継続雇用」を意味している。
  企業は継続雇用に対して「定年を迎えた従業員を置いてやる制度」であると位置づけてはならない。必要とする人材を明確に洗い出して、必要としている業務に再配置していくという意味で、企業の人事マネジメントにとって継続雇用は「中途採用」におけるマッチングと同様であるとの位置づけが重要である。同時に継続雇用に移行する従業員に対して「継続雇用とは再就職に向けたエントリーである」という意識を持たせることが不可欠となる。

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