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週刊Neue Fahne

2022年01月31日号

己の働き方を再考察 −3− 常に経営者の視座に立つ

これからの働き方で必要なことは常に「自分の成長に対して責任を負うのは自分自身であり、決して組織ではない」という意識だ。今日においても依然として会社組織は新入社員に対し等しく教育を施している。しかし、企業の人材採用の流れは徐々に新卒一括採用からアルムナイ採用(離職・退職した人の再雇用)も含めたリファラル採用を中心とした中途採用による人材確保へと傾斜し始めた。この結果、人材採用は実質的に通年採用にシフトしてくることになる。
  この流れは現時点では主に大手企業でのことだが、早晩多くの企業の採用手法となってくるだろう。通年採用が定着するならば当然のことながら企業の人材育成の方法も変化することになる。企業は中途で採用する人材には、企業が必要とする職務能力やスキルが備わっていることを大前提とするのは必定だ。

  採用の通年化に伴って同時並行で外部労働市場が活性化することになる。従って、一人ひとりの働きにおいてこれから問われるのは、この労働市場で自らが通用するか否かということである。これまでは入社した企業に永年勤続することが慣習化していた。このため企業から各階層ごとに学習機会が与えられることを当然のように捉える風潮が定着していた。就職活動中の学生などは、「人材育成や成長の機会提供が充実している企業」をエントリーする条件などにもしてきた。しかし、外部労働市場からの人材確保の流れが定着するならば、必然的にこの種の選択肢は余り意味をなさなくなる。
  企業も新卒者を対象とした場合には、確かに入社してから数年の期間は育成を施すだろう。しかし、一定の期間に企業が求めるパフォーマンスを発揮できないと判断した者にも、これまでのように“一律に育成して暫時的な成長を待つ”などという悠長なことはいっていられない。その都度に自社の事業構造の発展に寄与できる能力とスキルのある人材を外部から調達することになる。コロナ禍を契機に始まっている大手企業による大規模な「早期退職募集」は、中長期的な視点で新たな採用に向けた原資を確保しているようなものだ。

  これからは企業による人材の獲得、育成、登用の方法は、従来からの慣習にとらわれない多様な手法が展開されることになる。このような状況にあっては、「自分は会社に雇用されている身なので、仕事に対する育成は会社がやってくれる」などという発想はもはや通用しない。もっともこの種の発想は昔から企業組織では疎まれてきたのだが、このような発想をしていては、何時までたっても仕事を通して自分を高めていくことはできない。
  たとえ企業組織に属していたとしても、自分に課せられた仕事は、「自分のこと」と思うことで視野が格段に広がってくる。「自分のこと」という意識を持つための最大の近道は、経営者意識を自らのものにすることだ。つまり、「もし自分が経営者だったら…どうするか」という視座に立って物事を見るということだ。

  視座とは「物事を認識するときの立場」という意味である。一社員の視座では思いつかないことも、自分が経営者であることを前提にしてみるならば、異なった視界が広がり見えなかった事柄も見えるようになる。少なくとも日常業務行動を通して身近な上司や取引先などの関係者の中から「見習うに値するロールモデル」を見つけ、物事を判断し決定する場面での立場・観点・方法を徹底的に観察していくことだ。
  とりわけ、観察においては仕事への「責任感」を見習う必要がある。なぜなら自分自身が成長していくということの根底には、常に責任感が付きまとうからだ。こうした自己の学習によって自分自身の実力を伸ばし、仕事の範囲を広げより大きな仕事の全体像を把握することができる。あくまでも自らの成長の結果を基に今現在属している企業組織に対して利益貢献を行っていく姿勢を堅持していなければ外部労働市場で通用するはずもない。

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