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週刊Neue Fahne

2022年11月07日号

現場マネジメントが担う部下育成課題 -9- 自分の働きに対する価値の自覚

多様性が重んじられる時代であり、一人ひとりの働き方に対する考え方や価値観も千差万別である。ただし、企業組織での働きは自分勝手が許されない。そもそもそ組織には共通の目的が存在し、そこで働く者には協働が求められる。とりわけ企業組織での働きにおいては、常にその時々の「結果」を重視される。
  いくら「自分は頑張った…」と思っていても、それが結果に結びつかなければ意味がない。端的にいえば働きに対する報酬は「成果の対価」であるという思考性が必要となる。仮に報酬は「労働の対価」であると捉えているならば、単純に工数労働に自らの働きを落とし込めることになる。

  自らの働きを「単純な工数労働である」と位置づけ、指示されることを指示された通りに行っているだけで満足するという考え方も成り立つ。一方で自らの働きに付加価値をつけていくことを思考するならば、この種の働き方に満足することなく常に業務改善や効率性を追求することになる。企業組織での働きにおいて自らの働き方に対する位置づけの違いが、いつしか「意識の溝」となり組織内に軋轢を生み出すことにもなる。
  自らの働きを「単純な工数労働」と位置づけるとは、自分に課せられた事柄を他人に任せにするということでもある。他人任せにするならば仮に周囲が困難に直面していても、見て見ぬふりする態度で済ますこともできる。何故ならば周囲の事柄は自分の指示されている事柄の埒外にあるからだ。従って、この種の働き方には、必然的に「報告・相談・連絡」も不要になる。

  企業組織のなかに発生する「意識の溝」と多様性を混同してはならない。あくまでも組織の一員としての役割を果たすという認識に立つならば、共通の目的に向けて自らの働きと組織目標とのベクトルを如何にして合わせていくのかを思考しなければならない。このベクトル合わせを怠るならば、一見すると当然と思われる組織内での「配慮ある働き」さえもできなくなる。「配慮ある働き」とは協働であり貢献意欲によってもたらされるものだ。
「配慮ある働き」には企業組織の一員としての自分の役割を果たすという「自覚」が前提である。同時に日常行動を通して常に「配慮ある働き」を意識的に訓練していかなければ、自分自身の「力」として蓄積されない。企業組織での働きにおいて、優れた「資質」を持っていたとしても、貢献意欲を「自覚」しない者には宝の持ち腐れとなってしまうものだ。

  企業組織の中での仕事の出来、不出来は、個々人の「能力」以前に、一人ひとりの働きに対する「自覚」の形成で決まってくる。「自覚」をするとは一言でいえば常に何事も当事者として立ちふるまうという「オーナーシップ」感覚を身につけていくことに通底している。つまり、企業組織の働きにおいては自分自身が当事者本人であり、“役職や立場を問わずオーナーシップを取らなければならない立場である”という意識を持ち続けるということだ。
  そのためには、常に物事に対して健全な活力と楽観的な姿勢で臨み、周囲に活力を与えながら前向きなエネルギーを引き出し、時には自他に厳しい要求を突きつけ、「イエス」「ノー」を明確にしながら物事をやり遂げる力を磨いていかなければならない。また、自分の働きに対する価値を信じ情熱を持ってすべてのことに深い関心を持ち、精力的に働くということだ。さらには自らの働きを狭い視野で捉えるのではなく、全局の中で位置づけ、周囲に対して受け身にならず、自分が率先垂範で仕事に取り組むという「訓練」を目的意識的に課していかなければならない。

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