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週刊Neue Fahne

2022年11月28日号

ハラスメントを口実に適正・適確な指導を放棄してはならない

 ハラスメントとは、人に対する「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為を指す。属性や人格に関する言動などによって相手に不快感や不利益を与え、尊厳を傷つける行為である2019年に国連の専門機関である国際労働機関(ILO)は、第108回総会において「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約案を採択した2021年6月25日に発効されている。
 日本は未だに条約を批准していないが今日では“ハラスメントは人権侵害”であるという考え方が世界の共通認識となっている。コンプライアンスが企業活動にとってもはや「所与の条件」である以上は、当然のことながら企業並びにそこで働く一人ひとりにとって、各種のハラスメントを許さないという立場性と組織的な対応が不可欠となっている。

「パワーハラスメント防止法」が2022年4月から中小企業に適用されて以降、多くの職場で上司と部下の関係性や上司の側の所作がことさらに問われ始めている。一方で一部には「部下を叱る行為がパワーハラスメントだ!」「相手がパワーハラスメントと感じたならばパワーハラスメントだ!」などという誤った思考も流布している。そこで単に上司と部下の関係性のみならず、法律を踏まえパワーハラスメントの捉え方と意味の理解が必要となる。さもなければ“言った者の勝ち”的な風潮が蔓延することになり、職場の秩序崩壊にも繋がる。現にこの兆候は各職場であらわれ、現場を司る管理職層の中には部下に対する指導を躊躇う傾向さえ散見され始めている。
  とりわけ、自分が「嫌だ、不快だ」と思った他者の行為や言動について、「ハラスメントだ!」と過剰に主張するというある種の“嫌がらせ行為”を見え始めている。この行為を指して“パワーハラスメント・ハラスメント”なる新たなハラスメント用語も生まれている。企業内では「セクシャルハラスメント」「マタニティーハラスメント」「パワーハラスメント」が三大ハラスメントと呼ばれているが、セクシャルハラスメント以外は和製英語であり、ある種の言葉遊び化しはじめ、50数種類のハラスメントが存在しているとも言われている。

  明確な根拠や証拠があるわけではなく単なる自分にとっての「好き、嫌い」を基準にして反応する傾向に対して、現場マネジメントは毅然として対処しなければならない。例えば自分のミスや業務弛緩で指導を受けているのにも関わらず「パワーハラスメント」を受けたと主張する。上司から業務態度や遅刻などについて指摘を受けたならば、自分に非があるのにも関わらず「それパワハラで訴えます」と逆ギレする。子どもの体調不良で会社を休んでいた社員を心配して「お子さんの体調大丈夫?」と声をかけただけなのにも関わらず、「上司がプライベートに踏み込んできた。個の侵害でありパワーハラスメントだ!」と訴える。
 さらには誕生日を尋ねただけで「プライバシーの侵害は、パワーハラスメントだ!」と主張するなどのケースもあるという。この種の「ハラ・ハラ」行為を職場で助長させるならば、業務をスムーズに進めるための最低限のコミュニケーションすら取れなくなる。最悪の場合には職場崩壊を引き起こす可能性もある。そこで、特にパワーハラスメントについては法律の趣旨と指導の関係を正しく認識することが職場運営に不可欠な課題となる。

  安易に巷に溢れている「こうした発言はパワーハラスメントになる」などの“べからず集”に基づいた「誤った自己流解釈」が、現場での日常業務行動における指導・指揮・指示・命令とハラスメントの関係に混乱を招いている“これをいってはいけない”“あれをいってはいけない”というある種の“言葉狩り”問題に矮小化してはならない。また、存在するはずもないにも関わらず「客観的な判断基準が欲しい」など“ないものねだり”をしても意味がない。
  パワーハラスメントの発生原因を行為者の“コミュニケーションスキルの乏しさ”に還元してはならない。コミュニケーション力の乏しさは二次的な理由に過ぎず、業務上で必要なことを強制することはパワーハラスメントではない。あくまでも業務上で必要のないことを強制することがパワーハラスメントなのである。この点をしっかりと踏まえた現場マネジメントを展開しなければ、ハラスメントを口実に適正・適確な指導の放棄となり職場崩壊につながることになる。

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