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週刊Neue Fahne

2023年01月23日号

若手・新人に対するマネジメント再考 -1- 上司としての基本スタンス

 企業内において中高年社員からはこの期に及んでもまだ、若手社員に対して「最近の若い者は…」式の愚痴ともボヤキともつかない発言がなされる。片や若手社員からは「働かないオジサン、オバサン」と揶揄される存在の中高年も少なからず存在している。組織内にはいつの時代にも若手と年長者の間で確執が存在するのが常だ。どうやら最近では「働かないオジサン・オバサン」に関する批判の方に分がありそうでもあるのだが。
 企業組織内における年齢構成は極端にいえば20代から60代まで50年の幅がある。このため、若手社員と中高年社員の間で認識や価値観の違いは当然のことながら存在する。この違いを認識しているならば、世代間での有形無形の確執が存在するのは至極当然のことでもある。ところが、この違いは日本社会が成長軌道から外れ始めていることにより、不必要に強調されるようになってきた。

 社会全体が成長している状況の下では互いに余裕をもって対処できた事柄、多少多めに見ることができた事柄が存在した。しかし、社会が「ゼロサム化」している中では、企業組織においても世代間で分配をめぐる疑似的な争奪戦でもあるかのような感覚に陥るものだ。これは実に不毛なことである。一つの企業組織に限ってみるならば、あくまでも機能体組織として世代に関わらず存続に向けた条件である利益を追求し切磋琢磨しなければならない。
 極端にいうならばこの利益追求という命題において、経営資源であり資本である「人」の有効活用が全てに優先する。この意味で世代間の確執などは二の次、三の次でなければならない。さらにいえば企業組織内において中高年世代は、若手世代と決して競争をしてはならず、まして自らの優位性などという幻想を抱くべきではない。

 とりわけ管理的立場にある者(上司)は、部下である若手社員との間でお互いに理解しあい、協力して成果をあけるために自らが「何をなすべきか」に集中しなければならない。つまり、健全な関係性を構築するということである。余談になるがこの関係性が創れているならば「年下上司」に対して不必要な妬み嫉みを持つ必要もない。
 かつては“部下は自然と上司に共感・共鳴するものである”という暗黙の了解が存在した。しかし、これは幻想に過ぎないのは明らかで、部下の立場からするならば“このように振る舞っていた”に過ぎないということだ。いつの時代にも部下が上司に共感・共鳴するのは、あくまでも信頼に値しする上司に対してのみである。自分が信頼できない上司に対しては“いうことを聞く振り”をしていたに過ぎないということだ。有り体にいえば今日において若手社員の共感能力、コミュニケーション能力が著しく低下しているのではなく、むしろ正直になっているのである。

 正直になっている若手社員に上司が取るべき態度とは、部下との間でお互いに違いを認めつつ理解し合える関係性を築く努力をするということだ。さらにいえば如何にして部下に「上司のいうことは、確かにもっともなことだ」という納得感を持たせるかということである。部下は上司の発する言葉や日常的な態度に納得しなければ、決して共鳴することもなければ動くこともない。もはや部下が「上司の立場を理解してくれているだろう…」「わかってくれているだろう…」などと考えること自体が上司の怠慢さを示すことになる。
 上司の側は「部下が上司を理解しない、できないのは当然である」と覚悟して、それでも自らが積極的に部下に働きかけねばならない。とりわけ、上司は若手社員との間に存在する“深淵なる溝”を埋めようなどと発想をする必要はない。“深淵なる溝”の存在を先ずは肯定したうえで、そこを相互に行き来できる「橋」を渡していくという立場性を堅持するのみで十分である。

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