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週刊Neue Fahne

2023年02月20日号

若手・新人の対するマネジメント再考 -5- 上司による自らの器量の発信

 人をマネジメントするということは「人をコントロールすること」ではない。あくまでも組織の全体最適に向けてやり繰り、采配を行うことである。この視点に立つならば「上司をうまく使う」という発想に立っている部下ほど頼もしい存在である。
  もちろん、「上司を使う」とは、それだけ自らにも相手にもリスクが伴うものであるということを部下に自覚させる必要がある。言い換えるならば、上司に限らず他者のパワーを使うからには、仮に失敗をしたならばパワーを貸した者の責任が問われるという道理を理解させるということである。

  上司の役割とは“部下の失敗は上司の失敗である”ということを理解させ、失敗のリスクを十分に考えさせ、検討させたうえで、部下に思い切って権限を譲渡してチャンスを与えることである。部下にチャンスを与えもしないで、一方的に部下にチャレンジを期待することは、乱暴な言い方ではあるが“遣らずぼったくり”の悪徳商法のようなものだ。
  上司は自らに与えられたチャンスを我がものとしようとする部下には、最大限の支援を惜しんではならない。上司がこの支援を惜しんでいるならば、上司は仕事に対して単に偏狭な抱え込みをしていることになる。上司による仕事の抱え込みは、ある意味で部下とつまらない競争をしているようなものである。

  部下と競争する上司などは企業組織にとって阻害物であり、結果的に組織を私物化しているようなものである。同時に部下の成長の芽を摘む行為でもある。上司は部下に「もっといい仕事がしたい」と思わせるような、前向きな働きかけを不断に行っていかなければならない。上司にしてみれば常に自分の考えに同調してくれる部下は愛い奴と思いがちである。しかし、上司は自らにとって扱いやすい部下のみを決して重用してはならない。
  極端にいえば、自分にとって扱い難いと思われる部下であったとしても、そのことをもって部下を評価してはならない。何故ならば企業組織はあくまでも利益を追求する機能体なのであり、私の集団ではないからだ。仮に上司に対して積極的にコミュニケーションを図ってこない部下であっても、存外な発想を持っていることがある。この発想を引き出していくことも上司としての役割である。

  企業組織が厳しい外部環境の変化の只中で競争し発展・成長していくためには、何としても従来発想からの脱却が不可避となっている。その際の足枷となるのは「これまでのやり方」に対する固執であり踏襲という悪癖としての「錆」である。少なくとも今日の若手・新人社員の中には、この種の妙な「錆」がついていない。ただし、上司が旧態依然とした発想に囚われているならば、若手・新人もあっという間に錆びつくことになる。そこで、上司は柔軟な発想と大胆な行動力を受け入れる姿勢や器量を発信していくことが緊要である。
  今日の若手・新人についてはその行動特性を捉えて、さまざまな否定的な言説が面白おかしく流布している。確かに現象的にはその多くが当てはまることもある。しかし、上司はこれらの言説に無批判に同調してはならない。そして、先ずは日常の働きの場で一人の個性のある人間として若手・新人を肯定することから始めなければならない。その上で如何にして伸ばすかを考えることが上司の役割である。

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