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週刊Neue Fahne

2023年03月06日号

若手・新人の対するマネジメント再考 -7- 積極的な“下問”の姿勢を堅持

今日40代〜50代の「中高年」と呼ばれる世代よりも上の世代には、今日の社会の構造変化に対して“渦中にいなくてよかった”との思いがあり、ある種の「逃げ切り」意識も存在している。一方で「中高年」ど真ん中の世代には、構造変化の真っただ中で“自分たちの世代は貧乏くじを引かされている”という妙な「被害者」意識も存在している。
  このためか巷にはこの種の中高年を揶揄して「働かないオジサン」論議が跋扈している。もちろん、それぞれ個人差があり単に偏狭な世代論に矮小化することはできない。一方で企業組織ではこの世代が若手・新人のロールモデルにならなければならない。従って、中高年世代が若手・新人に与える影響は本人が思っている以上に大きい。

  若手・新入社員に対しては“働く現場は自分たちと同世代だけで構成されているわけではない”という現実をしっかりと理解させる必要がある。現在日本の多くの職場では10代から70代の世代の人びとが何がしかの就労形態で働いている。自分の職場だけではなく取引先や協力企業にもこれらの世代が働いている。若手・新入社員にとって、自分の祖父や祖母に当たる世代の人びととも良好な関係性を保ち共通の目的に向けて協働をしていかなければならい。
  これは考えてみれば非常に酷なことでもありストレスがあるのも当然である。決して若者・新人に媚びる必要もないが中高年の側から、彼・彼女らの生まれ育ってきた環境に対して理解を示さなければならない。同時に今日の中高年世代も自分たちが若手・新人と呼ばれた時代に上司や先輩から受けた理不尽と思われる言動等にどのような反発心を抱いたのかを想起すべきである。今日の若者・新人はその当時よりも職場に蔓延する理不尽さに敏感でもあるはずだ。

  若手・新人への指導・育成に求められるのは“次代を担ってもらう”という期待値の表明である。併せて“指導・育成をする側の世代にマネジメント力量が問われている”という自覚である。これは先ず何よりも若手・新人を支援する立場性の堅持ということである。
  現実問題として今日の若手・新人は不相応と思えるほどプライドが高く、妙に自己顕示性も強い。反面で自分が「わからない事柄」を明確にできないケースもある。つまり“何がわからないのかかを、わからないいままで済ませてしまう”という傾向である。これは言い換えるならば、他者とりわけ、上司・先輩に対して質問や相談をしない(できない)ということである。

  ただし“知ったかぶり”をしているわけでも、上司・先輩を無視しているわけでもない。まして、上司・先輩に質問・相談することを“カッコが悪いことだ”と思っているわけでもない。質問・相談をすることで「そんなことも知らないのか」と叱責されることが嫌なのでもない。社会に出て一定の理不尽さに耐えてきた年長者にしてみれば、およそ理解に苦しむことだが、単に質問・相談をすること自体が“怖い”のである。若手・新人の指導・育成においては、この“怖い”という感覚を理解する必要がある。
  いくら「わからないことがあれば、なんでも相談に来なさい」といったところで、それ自体を“怖い”と思う者にとっては、そのようにいわれることさえもが酷なことでもある。いつでも相談を受け入れるという「オープンな姿勢」が重要といわれるが、今日ではこれだけでは「相談されることを待っている姿勢」に過ぎない。その結果「若手・新人が相談に来ない」という相手の責任に帰すことになる。問うべきは若手・新人に対として事あるごとに積極的に“下問”していく姿勢である。しかもこの“下問”は集団を前にして行うのではなく、1対1でなされなければならない。

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