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週刊Neue Fahne

2023年04月10日号

若手・新人の対するマネジメント再考 -10- 優先させるべき事柄は「相談」

若手・新入に対しては昔も今も「報告・連絡・相談」を「ホウレンソウ」と称し、ビジネスマナーの一環としてその重要性が強調されている。しかし、「ホウレンソウ」は単なる語呂合わせであり、「報告」「連絡」「相談」はそれぞれ独立したものである。一括りに「ホウレンソウ」を強調しているだけでは、「結果報告」が横行する。
  上司の立場からするならば、途中経過についての相談がなされないままの部下からの「結果」報告が“あとの祭り”と感じる場合がある。一方で「相談」とは一般論でいうならば、上司から催促して行うものではない。部下の側が仕事で悩んだり、困ったりしたときに、自分の判断で上司からアドバイスを求めるものであるとの捉え方がなされている。この点だけを捉えるならば「相談」をするしないの判断が部下の側に帰することになる。

  相談をしてこない部下、とりわけ若手・新人に上司の側は「何故、相談をしてこないのか?」と訝しがる。あるいは常套句のように「最近の若者には自分から問題を話したがらない傾向がある」などと評論家然として世代間のズレに矮小化してしまう傾向もある。しかし、相談をしない部下を放置していては、問題の発見が遅くなるだけである。時には取り返しのつかない事柄に発展する場合もある。何よりも最終的な結果についての責任は上司の側に必ず跳ね返ってくる。

 往々にして責任感の強い若手・新人に限って「自分のことだから、上司には相談できない」と勝手に思い込んでいる場合がある。あるいは逆に「終わってから報告すればよい」と指示されたことを熟しているだけの感覚に陥っている場合もある。いずれのケースも仕事上でのさまざまなシーンで求められる「報告」「連絡」「相談」に対する意味理解が不十分であることに違いない。

 若手・新人に対して仕事のやり方、進め方を指導する場合には、まず「報告」「連絡」「相談」のそれぞれの意味をしっかりと把握させていくことが先決となる。とりわけ、若手・新人は企業組織での経験が乏しいため、企業文化の共有性が低く組織に馴染んでいない。つまり、企業組織での経験的に形成される「当たり前」と思う事柄が当たり前ではない。上司の側は若手・新人に対して自らが経験的に蓄積してきた「阿吽の呼吸」や「意図を察する」などを期待をしてはならない。
  上司の側が若手・新人に対し「報告」「連絡」「相談」の意味理解を促すうえでは、言葉の持つ力を十分に理解しなければならない。企業文化の共有性が低い段階では、何よりも言葉による表現を重視する必要がある。「指示の行間を読み取って欲しい」などというのは、上司の側の怠慢以外の何物でもない。日常業務行動の過程で伝えるべきことをすべて言語化して、直接的・明示的かつ分かりやすい表現で説明を繰り返していくことが重要となる。

  業務経験が不足している若手・新人は自分が抱えている課題について十分に咀嚼できず、往々にして闇雲に業務を展開するケースがある。しかも上司に「相談」をしたくとも“何をどのように相談して良いのかがわからない”という状況に陥るものである。このような時に一般論でいくら「報告・連絡・相談」の重要性を説いても意味がない。上司の側は相談されるのを待つのではなく、あくまでも“いつでも、どこでも、なんでも相談せよ”というメッセージを発信し働きかけ続けなければならない。
  上司の側に時間がない場合には、改めて時間を設ける必要もある。若手・新人からの相談に対しては真摯に受け止め、必ず最後まで聴く姿勢を堅持することが大切である。もちろん早急に対応すべき課題であれば、すぐに指示を出す必要もある。一方で瞬時の判断を要しない場合には「ビジネスにおいて正解は存在しない」という道理に沿って、状況に対応した最適解を自分で探り当てていくように導かなければならない。若手・新人から積極的に相談させるのは上司の役割であり使命でもある。

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