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週刊Neue Fahne

2013年02月04日号

就活学生を嗤えない既存社員に内在する「“就職”=“就社”」意識

 いまだに2013年3月卒業の学生で就職活動を展開している者が多い。2013年4月からの入社先が決まっていない数(未内定者)は、調査機関が発表する数字よりも遥かに多いといわれている。
 一方で目標とする採用人員に達せず苦戦し、今も多くの企業が採用活動を展開している現実がある。こうした人員確保に苦戦する企業が一般的にいわれている「不人気企業」であるかといえば、必ずしもそうではないだろう。
「格差社会批判」が喧伝されて以降、極端に雇用条件の格差を問題視する傾向が強く、求職者の側が「労働条件」や「雇用形態」、さらには企業の知名度、安定性などを選択肢に上位に位置づけることは理解できる。しかし、その選択肢の間口が広く、ましてさまざまな情報が氾濫してしまった結果、逆に選択肢を狭めてしまっている状況も生まれている。
 
 これは単に就職活動を行っている学生に限ったことではない。現に企業内で日々の業務を行っている者の中にさえ、この道理を理解していない者が多いのも現実だ。学生に限らず就職活動を陰ながら支援するはずの親も就職指導者たちも同様である。
「自分の知っている企業名を書き出してみる」という行為をさせれば、精々のところテレビCMを流している企業名位を上げるのが関の山だ。当然のことながら「知られている企業」には、多くの学生が集中して膨大な母集団から自分が選択されるわけだ。
 もちろん採用枠には限界があるため、なにがしかの選考基準でよって選別されることは必定である。就職活動時期になると「内定が決まらない…」「相当数の企業にエントリーしたが面接まで進まない」という悲哀を込めて学生たちの声が放映される。毎年この種の事が繰り返されてきたが、「膨大な母集団から自分が選択」されているという現実を直視せず「就職活動の厳しさ」を嘆いても意味がない。まして、僅か数年前まで優良企業といわれていた企業であっても、今日存亡の危機に瀕している企業はあまた存在している。

 同時に「“就職”ではなく“就社”」という意識がいまだに根強く残っていることも現実だ。求職活動を行っている多くの学生たちは、企業で働くという意味がどのようなことであるかを知らない。知らないという意味は、個々の企業の業務内容という意味ではない。そもそも企業は存続のために利益を上げ続けなければならない「生きもの」であり、その一つの手段として、人的資源活用のために採用を行うという道理を知らないし、教えられていないということだ。

 就職活動を行っている学生、そしてその学生の親や就職指導者たちは、これまでの「善意の無知」によって意識づけられてきた、就職=就社という幻影を捨てる必要がある。これは何も新卒学生たちだけの問題ではない。転職を思考する者にも同じことがいえる。
 そして、何よりも現時点で企業内において仕事を行っているすべての者にもいえることだ。企業での自分の働きは、自らが属している企業組織の規模や業績によって保障されるものでは決してないということだ。
 もちろん漠然とした勤続年数による経験でもなければ、社内でだけ通用する経歴や肩書ではない。自分が担当している仕事で、何ができるのか、どのようなレベルにあるのかを見極めて、他社でも通用する仕事力を磨くことだ。他社で通用しない「働き方」では、自社にとって有益な「働き方」をできるはずもない。

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