2015年08月17日号
管理職が背負う機能面の役割は一般的には次のように整理される。
1.所管する部門・部署での自らも含めた「仕事の管理」
2.業務遂行上での日々の「仕事の改善」
3.業務展開上での安全・衛生も含めた「人の管理」
4.常に後継を意識した「人の育成」
5.会社方針を噛み砕いて部門・部署に「翻訳」して伝える「経営の分担行使」
6.経営視点に立って、自部門・部署を横断する「部門間の調整」
これらは、あくまでも管理職の機能でありマネジメントの基本である。従って、管理職は基本的な機能向上のための自己研鑽を怠ってはならず、あらゆる機会を通して自らに課せられている機能をブラッシュアップさせていくための「学習」が必要となる。
企業の内外で実施されている管理職研修の大半は、この種の「機能」向上に資する内容が大半を占めている。なぜならば、均一化した職務レベルが維持できなければ、企業が一人ひとりの“我流”の集合体になってしまうからだ。
一方で管理職には自らの学びと同時に性別・世代はもとより、国籍を含めた多様性な従業員を率いて“共通の目的”を達成する為に先頭に立って指揮をとることが求められる。この過程で、管理職が重視しなければならないことは、個々の従業員に対しての安全への配慮をも自らが負わなければならないということだ。
ところで、これまで現場マネジメントを仕切る管理職は、機能面を重視するあまりどちらかというと部下への指導と労務管理を別次元で捉えがちであった。つまり、労務管理上の課題は人事部門の範疇であり、現場のラインマネジメントにとっては副次的な課題であるとの意識が強く存在していた。
今日の職場は多様な雇用形態の男女が混在している。就労する年代も20代から60代までの幅がある。当然のことながら一人ひとりの価値観も異なっている。単一の価値観で全体を牽引することは、ほぼ不可能といっても過言ではなく現場のマネジメントも否が応でも多様化せざるを得ない。
このため、一般的な管理職の機能も状況対応が迫られるケースが増している。しかし、管理職の基本となる機能をしっかりと自覚していなければ、状況対応が“その場しのぎ”と同じになってしまう危険性がある。
そこで、管理職が行うマネジメント上の状況対応とは、会社組織と自らの「やるべきことは何か」が常に問い続ける中から涵養されたものでなければならない。同時に「自分が何をやりたいのか」を明確に周囲に示していく主体的な姿勢をマネジメントの根幹に据えなければならない。
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