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週刊Neue Fahne

2015年11月16日号

管理職が部下に権限移譲をするのは育成の一環

 管理職にとって部下に仕事を任せることは実に勇気がいることだ。特に経験が豊富で周囲からも「できる」と思われて評価されている管理職に限って、部下への権限移譲に消極的になるものだ。これはもちろん、自らの業務に対する過度な責任と自負のあらわれと見ることもできる。
 しかし、この種の管理職は自ら仕事を抱え込むことに満足し、部下指導が下手でもあるという側面を持っていることになる。このため“できる管理職”は“できる人材”を育てることはできないと揶揄されることにもなる。

 管理職はこうした誹りを受けないためにも部下に対して、最低限の「やってはならないこと」と「報告すること」を守らせ、部下に一つの案件を思い切って権限委譲してみることも必要である。これは部下のためだけではなく管理職自身のためでもある。期待できる部下に思い切って自由に仕事をやらせてみることで、彼らのパワーを引き出す可能性が拡大してくる。この結果は組織全体のすそ野の拡大となる。
 もちろん権限移譲をするといってもすべての部下に対して行う必要はない。権限移譲にあたっては、管理職自身が“期待して育てようとする部下”に限定する必要がある。現時点で期待ができない部下に対しても等しく権限移譲を行うとことは、育成でもなければ教育でもなく単なる管理職による部下指導の放棄である。

 権限移譲とは放置するということではない。例えば管理職が部下と共に目標設定を行い、達成すべき到達点を確認した上で部下に任せるということだ。つまり、“入口”と“GOAL”を部下と合意して、部下にプロセスを自由に考えさせて実行させるということが大前提である。管理職が部下と共に目標設定を行う場合に注意しなければならないことは、「部下が使える資源」を明確にし、コンプライアンス視点に立って「これだけはしてはいけないこと」を明確にして「報告のルール」を決めることである。
「使える資源」とは、時間や経費のことだが、「やってはならないこと」と「報告」をきちんと決めておくことが権限移譲のポイントとなる。これを怠った権限移譲は「放任」と同じことになる。

 部下への権限移譲とは、部下に対して「責任の重さ」を自覚させることでもある。一から十まで管理職が“指示を出し、部下が従う”という構図は、実は管理職にとって楽なことである。しかし、管理職がこの行為を繰り返していると部下は「自分の頭を使わない」ことに慣れてしまうことになる。この慣れは部下の成長を阻害し、いつまでたっても手離れしない部下が再生産されることになる。

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