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週刊Neue Fahne

2010年12月13日号

「貢献意欲」と「コミュニケーション能力」

企業は求職者にコミュニケーション能力を求める。日本経団連の「新卒採用(2010年3月卒業者)に関するアンケート」でも企業が採用で特に重視する具体的能力としてコミュニケーション能力が80%以上となっている。こうした傾向からか多くの求職者は自らのコミュニケーション力を強調する。もちろん新卒に限らず中途採用での面接で求職者は企業が求める能力としてのコミュニケーション能力をアピールする。

まるで、人と会話をすることが苦手な者は働く能力に欠けているかのような錯覚を起こしているのではないかと思いたくなる。「仲間同士の他愛のない会話が好きだ」という理由で、自分はコミュニケーション能力があると思いこんでいる者さえいる。しかし、企業人・組織人に必要なコミュニケーション能力とは、単純なおしゃべり会話力ではないはずだ。経営学者チェスター・バーナードは、組織をシステムとしてとらえ「意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力」と定義し、組織の要素として次の3点をあげている。

1.共通目的…集まった人の個人目的だけではなくみんなで共有する目的を持つ。
2.貢献意欲…自分だけのためでなくみんなの共通目的のために貢献する。
3.コミュニケーション…共通目的と貢献意欲を結びつけ、両者を結び付ける意思を調整し疎通させる。

この3つの要素の均衡が取れていることが、組織の成立条件であり、存続の前提といわれている。ところが、昨今のコミュニケーション能力ばやりは、「貢献意欲」が忘れがちになっている。また、共通目的は、いつしか単純な目標数値として理解されがちだ。
「貢献意欲」とは、「協働の意思」とも呼ばれるものだ。そして、会社組織はもとより自分の属する組織に貢献しようと考えて「貢献意欲」を持ったひとは、その組織全体の共通目的を達成するため中心にとなって常に意欲し続けるものだ。コミュニケーション能力とは、こうしたことができる能力ということだ。

業績が向上している組織は、「貢献意欲」の強いひと達が、常に組織全体を引っ張っているものだ。同時に「社会における存在意義を明確にし、それを発信するひと」が常に存在している。逆にいえば、どんなに優れた商品・サービスを提供していても、「貢献意欲」に乏しい人びとの集団では、「存在意義」が明確にされず、業績は伸びないということだ。

業績が低迷している会社というのは、「存在意義」をうまく伝え切れていないのである。そもそも「存在意義」のない会社などは、社会からは退出を求められる。
問われているのは、抽象的に「コミュニケーション能力」を語るのではなく、「貢献意欲」に基づいて、同じ組織で働く人びとと協働の意思を結び付ける能力ということだ。

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