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週刊Neue Fahne

2017年01月30日号

管理職は会社組織と自分自身を緊張感ある関係におくことが必要

 多くの企業組織の中に何ごとも自分で考えることなく、上からの指示を仰ぐ「病魔」が蔓延っている。この「病魔」は、企業組織へのかかわり方や就労意識に根ざした、一人ひとりの没主体的な“上のいうことを聞いていれば何とかなる”という「危機感」と「緊張感」の欠如でもある。
 企業組織は職位が上がるにつけて権限の範囲が拡大する。当然のことながら上から下に指揮命令が発せられ、上席者によって下される指示や判断によって部下は動かなければならない。

 ところがこの過程で往々にして、部下の側に「上からの指示を受け身に捉えることが最善である」とする風潮が生まれ常態化する傾向がある。部下に発生するこの種の風潮は、部下に責任があるわけではない。むしろ、管理職は“部下は上席者の受け身の行動を真似ている”と捉える必要がある。
 上席者の行動とは、よく言えば「経営者への過度な期待感」であり、悪くいえば「経営者への甘え」である。期待と甘えは表裏関係にあり、突き詰めるならば“経営者のいうことに従っていれば何とかなる…”という意識だ。管理職のこの種の意識は、自然に部下に伝播して全社に蔓延することになる。

 管理職の経営者への期待と甘えは、「最後は経営者が決定するのだから…」という意識の下で、本来は経営陣と一般社員の架け橋である管理職層に自らに課せられた役割に対する認識の低さとして表出されることになる。また、「経営者がすべて決定してくれる」との思いは、部門や個人の責任の所在を曖昧にさせることになる。さらには改善・改革意欲が薄れて「設立当初からの慣習だから…」との理由で、非効率な仕事ぶりに疑問を抱かなくなり、指示されたことは実行するが自分で考えた行動がとれなくなる。
 この行く着く先は、経営判断を常に待ち望み決定に対し“面従腹背”の態度で受け流すことになる。部下の側はこうした管理職の姿勢を忖度して、管理職のいうことに対して“馬耳東風”の姿勢に陥る。

 企業組織に発生する“面従腹背”や“馬耳東風”の傾向は、それぞれの階層における「役割」と「責任」が不明化になっていることから発生する。そこで、管理職は健全な“組織作り”に向けて、一人ひとりが組織に自分自身を託しながらも、仮託し過ぎて埋没させないという“働きの姿勢”を確立させていくという一見すると相矛盾する関係性を創り出していく必要がある。
 管理職は自分の人生目標と企業組織が掲げる目標を一体化させる必要はない。むしろ、一体化させてしまうと会社組織への過度な期待という“偏愛”を生み出すことになる危険性がある。こうした会社組織と個人の関係は健全なものではなく、“偏愛”の感情は、結果として「会社へのぶら下がり依存」を生み出し組織全体が朽ち果てることになる。重要なのは、自分の人生目標を会社組織での働きを通して達成していくという意識を涵養していくことであり、会社組織と自分自身を緊張感ある関係におくことが必要だ。

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