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週刊Neue Fahne

2017年10月02日号

現場マネジメントの課題 -4- 人事・労務は現場マネジメントの責任

 ひと昔前まで個別企業の労務管理の中心は、労働争議を除き賃金交渉や福利厚生を含む労働条件の改善への対応がメインであった。また、労務管理の対象者もほとんどが自社の正規雇用者に限られていた。極端にいえば一部の例外を除き現場マネジメンには、人事・労務部門からの要請を均一的に現場に伝達するなどの対応で済まされていた。今日では雇用形態も多様化し「正規雇用」だけではなく、一つの職場に有期契約、派遣、パート社員などさまざまな雇用形態が混在するようになった。
 このため現場マネジメントには、各雇用形態を踏まえた現場での広角的対応による判断が必要になっている。とりわけ人事・労務は“人”という経営資源を対象にしているため、情意・情動が働く要素が良くも悪くも強く働くため、公正で多様な対応が求められるようになる。

 企業組織での人事・労務は、勤怠管理、給与・報酬、社員教育・育成をはじめ日常的な福利厚生などの管理業務全般である。このため人事・労務を単純に「定型的な管理業務」と狭義に位置づけるならば、個々の業務を個別にアウトソーシングすることさえ可能となる。現に多くの企業では既に給与計算などは「アウトソーシング」で対応している。
 しかし、人事・労務は生身の人を対象としたものであり、マネジメント全般に対する姿勢が集中的にあらわれる。このため現場マネジメントが労務管理の知識と機能が蓄積しなければ適正な役割を果たしていくことはできない。この点を意識することなく「人事・労務管理は人事部門の仕事であり、ラインマネジメントには関係ない」などは既に通用しなくなっている。

 人事・労務とは、企業組織にとって最大の資産である“人的資源”をいかに有効に活用していくのかという視点に立った現場マネジメントの重要な機能である。従って、ありがちな「こんな新人をなぜ採用したのだ…」とう現場の採用部門への不満などは、自らのマネジメント機能の欠落を自己暴露することになる。
 現場マネジメントには、責任を持って現場の組織状況を踏まえた採用、教育、評価、報酬の計画の方向性を明確にしていく必要もある。また、人事・労務視点から“変化対応ができる現場”を創り出していくという「組織開発」を展開していく役割も課せられる。改めて現場マネジメントは「会社で発生していることは、全て自らに関わりがある」との認識と役割使命を自覚しなければならない。

 現場マネジメントは人事・労務課題を決して人事・労務部門に責任転嫁してはならない。従業員の勤怠管理も現場マネジメントの姿勢が問われてくる。たとえば、法外な「未払い残業請求訴訟」を起こされ、あわてて人事部門が調べてみたら、実は現場責任者が長時間残業を黙認していたというケースもある。
 人事・労務は現場の組織モチベーションにも直結してくる。現場マネジメントが人事・労務マネジメントを曖昧にしている企業には、業績向上などあり得ない。当然のことながら各種ハラスメントに対する対応も人事・労務の一環であり、現場マネジメントには、適正な組織診断を行う責任が課せられている。現場マネジメントには「安全配慮義務」が問われていることを忘れてはならない。

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