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週刊Neue Fahne

2017年12月11日号

現場マネジメントの課題 -13- 採用と定着化は組織開発である

 新卒・中途を問わず若年層の早期離職が語られるようになって久しい。かつて早期離職の理由のトップ5には「給与に不満」「仕事上のストレスが大きい」「会社の将来性・安定性に期待が持てない」「労働時間が長い」「仕事がきつい」があげられていた。
 しかし、最近では「仕事の内容」「自分のキャリアや将来性」「会社の将来性や安定性」「職場や人間関係(セクハラ・パワハラを含む)」があげられるようになってきた。つまり、単純に給与や待遇だけの理由による離職が多い訳ではないということだ。一方で企業の側には人材の定着化は「待遇に起因している」という錯覚がいまだに多い。

 採用の直接・間接のコストの面だけ見ても若年層の離職は企業にとって損失だ。人手不足の中で人材の定着化に向けた企業の取り組みは非常に重要なテーマとなっている。ところで、若年層の離職率を考える場合に忘れてはならない視点は、採用段階で企業の側が「過大な期待」を持ってはならないということだ。
「少しでも優秀な人材を確保したい」という思いが先行するのは至極当然である。しかし、この“優秀な人材”という発想が極めて危険でもある。極めて乱暴な表現になるが「優秀な人材を求めてはならない」し、「優秀な人材は採用できない」という現実を直視する必要がある。

 世の中には確かに“優秀”と称される若年層の人材が存在している。しかし、残念ながらこの種の人材は自らの就職先対象をいわゆる安定していると思われる大手企業やブランド力の高い企業に限定しがちだ。従って、これから成長していく、あるいは“これから成長しそうな企業”を就職先として選択しない傾向がある。
 一方で昨今の「ブラック企業批判」や「ワークライフバランス」等の喧伝により、就労観が確立しているわけではない。このため、実際の就労現場で発生する「ある種の理不尽さ」を理解することができない。仮に採用したとしても結果として些細な不都合に直面するとすぐに退職してしまう。また、有効求人倍率の高さが安易な選択の要因でもある。

 最近の傾向として顕著にあらわれていのは、“企業組織の一員”に求められる本来的な役割を理解することなく、単に身分格差のごとく就労形態を捉えてしまう「正社員信仰」というべき傾向の浸透だ。「正社員信仰」が蔓延っているのは、「仕事とは何か」という意識づけなく、就職活動を行っているというあらわれでもある。
採用した人材の定着化というテーマとは、単に採用担当者レベルの問題ではない。
 あくまでも人材の定着は就労意識の再構築であり、それを司る現場マネジメントの課題となってきている。このため、現場マネジメントが積極的に採用段階から介入する組織風土を牽引して行く必要がある。採用と定着は一衣帯水の関係である。定着化とはとどのつまり、変化の激しいビジネス環境のなかで組織自体をたえず新しくつくりかえていくための組織開発でもある

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