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週刊Neue Fahne

2017年12月18日号

現場マネジメントの課題 -14- 職場から慣れを追放してリスク管理を実践

 現場マネジメントは徹底的に職場のリスク管理を実践しなければならない。「ひと」「もの」「金」「情報」はいうまでもなく経営資源であるが、特に最近では「情報」が、その取り扱いを含めて会社の盛衰を決するといっても過言ではない。「情報」管理の重要性が強調されて久しいが、依然として甘さからくる企業の損失が後を絶たない。
 とりわけ企業情報の漏洩に関する事故事例は実に多岐にわたる。報道されるのは一部の大手企業に限られているため、一見すると大手企業に集中しているように感じられ、どことなく他人事と意識してしまう危険性がある。しかし、あくまで報道されるものは氷山の一角に過ぎない。また、情報漏洩は単に意識的な漏洩だけを意味するものではなく、日常会話的に行われているSNS等での呟き等による情報拡散にこそ注意を払う必要がある。

 現場マネジメントは情報漏洩の対応にあたって現場に存在している「内部統制」意識性の欠如に注意しなければならない。意識欠如が発生する要因の一つは、現場に「内部統制」問題が法務部門や総務部門の所管であるという意識が存在しているからだ。
 つまり、内部統制意識が現場にまで浸透していないということでもある。一般的に全社的に先ずは事業業績に直結すると思われる事柄に意識が向い、社員の間に「これぐらいは大丈夫…」という油断が生まれる傾向がある。仮に現場マネジメントがこの状態を放置してしまうと「管理意識」が希薄なまま事業が拡大し、いざ内部統制の制度を確立しても運用する社員の意識が追いつかないという現状が生まれる。

 事業の帰趨は「攻め」と「守り」のバランスで決まってくる。内部統制の確立は安心して「攻め」を展開する条件でもある。特に情報漏洩に関して内閣府の調査では、漏洩元は事業者が約7割で業務委託先が約3割となっている。また、実際に漏洩に関わるのは社員(派遣・アルバイトを含む)が約8割であり、意図的な漏洩は少なく、7割以上が本人たちの「不注意」によって発生している。
 たとえ本人の「不注意」であったとしても漏洩によって発生する企業の損失は莫大なものとなる。当然のことだが情報漏洩は、損害賠訴訟の対象になる場合も発生する。訴訟は法人のみならず当該企業の社員個人に及ぶ場合もある。さらには企業の信用失墜という事態に直結する。何よりも社員への「不注意」を誘発させてしまうのは、現場マネジメントの責任ということになる。

 現場マネジメントは情報の取り扱いが「内部統制」問題であることをしっかりと浸透させていかなければならない。重要になるのは“いかにして「不注意」を防ぐかであるが、情報漏洩をはじめとするリスク管理ではまず、日常業務の点検を徹底して行う必要がある。
「重大事故の陰に29倍の軽度事故と、300倍のニアミスが存在する」とする「ハインリッヒの法則」(「ヒアリ・ハットの法則」)の運用は、生産現場に限ったことではなくリスク管理にも当てはまる。現場でのリスク管理意識醸成には、日常業務行動の相互チェックなどで慣れを払拭していくことが重要となる。現場マネジメントは「このくらいは大丈夫だろう…」というある種の傲慢が、「会社存亡のリスク背負い込む」ことになるという、危機意識を共有化させていかなければならない。

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