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週刊Neue Fahne

2018年03月05日号

企業組織はあくまでも「機能体」である

 企業組織は、機能体として存在するものであり、組織に利益目的があり、その目的を実現させるために人材やその他の資源を集め、役割分担や指揮命令系統の整備を行っていくものである。ところが、往々にして機能体であるはずの組織内には「部門利益」集団が形成される。
 この結果、個々の「部門利益」集団が、あたかもそれぞれの部門を構成する一人ひとりのために存在するかの様相を呈しはじめる。こうなると個々の部門構成員の満足感を高めることが重要なテーマとなった「共同体」組織のように動きはじめる危険性がある。

 大組織が幾度も組織改革を試みてもいつしか頓挫する。これは組織のだれしもが総論としては「改革」の必要性を理解しているが、個々の各論になると自部門の利益が優先するという構図の典型である。同時にそれぞれの部門を構成する人的要素も大きな桎梏になる場合がある。特に部門の立ち上げ時からの構成メンバーの人間的繋がりは、全体の利益を凌駕するほど大きなパワーを発揮する傾向となりがちだ。
 いわゆる「同じ釜の飯を食った」関係という極めてウェットな関係が先行し始めるということだ。もちろんこの関係を全否定する必要はない。しかし、現場の管理者は“人的関係が強固であればある程、組織の統制は効きにくくなる”という現実を理解する必要がある。「同じ釜の飯を食った」という意識は評価に対しても「情意」が働くことにもなる。

 組織運営の大前提は、“組織はあくまでもその存在そのものに価値があるのではなく、組織による成果に価値があり、その「成果」を通じて社会に貢献するものである”という位置づけだ。また、常に“組織とはそれ自体に「目的」があるのではなく、あくまでも「手段」である”ということを忘れてはならない。この前提が堅持されていなければ、組織を構成する一人ひとりがいくら「合理的に判断」していると感じていても、それは部分適性に過ぎず全体として「不合理」を形成してしまうということになる。
 全体として「不合理」に見える組織では、いつしか内部に「不条理」がまかり通っていることになる。そこで、部門利益の意識を解消させ全体利益に還元させていくためにも適時適切な人材配置転換が必要となるだろう。時には部門のトップをこれまで当該組織の人間と人的軋轢と関係のない外部人材を招聘して入れ替えるなどの荒療治も必要である。

 一見すると業務に精通した者を他の部門に異動させるのは、非常に非効率に思われる。また、外部人材の登用はプロパー社員から不平が出るかもしれない。しかし、「同じ釜の飯を食った」という感覚の下で組織体が相互瞞着化するよりも適度な緊張感が生まれて活性化することになる。同時に部門利益集団化を防ぐことができるし、コンプライアンスの観点からも不正防止にも繋がることにもなる。
 組織体は常に生き物である。そして、組織を構成している人材も生身の人間であり一人ひとりに個性がある。一方でそうであるがゆえに一時でも「あくまで企業組織は利益を上げる機能体」であるという意識を蔑ろにするならば、すぐに機能不全に陥ることになる。

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