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週刊Neue Fahne

2018年03月26日号

管理職は新入社員に何を伝えるべきか

 今ではさすがに「会社が何かを与えてくれるはずだ…」などと自分の人生を企業に委託する従業員は少なくなっているだろう。この思いは企業をあたかも擬似的家族のように位置づけてしまうあらわれなのかもしれない。ともするとこの種の思いは、「会社から相応の仕事があてがわれ、それに従っていればとりあえず給料がもらえて生活していける」との意識を生むことになる。つまり、企業への過度の依存ということだ。
 一方で「従業員は家族と同様だ…」と牧歌的な幻想とも願望ともつかない思いを従業員との関係に求めてしまう古いタイプの経営者もいる。こうした姿勢は批判されるべきことではないし、過去に多くの美談も生んできたのは確かだ。しかし、語り継がれる過去の名経営者の手法を表層的に捉える経営者に限って、一旦従業員との間で不都合が発生するならば、一転して「飼い犬に手を噛まれた」式に過剰反応をすることにもなる。

「会社が自分に対して何かをしてくれる」と思わないまでも多くの従業員は、「とりあえず会社に勤めていれば…」とホンネのどこかで抱いている。これをいわゆる「使われ人」の性といえばそれまでだ。しかし、これが俗にいう日本の雇用形態の特長の一つであり、弊害でもある「雇用=メンバーの一員になる」という発想によって形成され助長されてきた。
 もちろん、日本でも一律的な雇用形態が崩れ正規・非正規を問わず、あらゆる雇用形態が職場に存在することになって久しい。ところが「雇用=メンバーの一員」という意識はなかなか払拭されていない。とりわけ、新人の採用手法がいまだに「一括採用」が踏襲されている中では、新入社員の中にこそこの意識が凝縮してあらわれる傾向がある。

 確かに、「雇用=メンバーの一員になる」という発想は、「雇用される側」という意識からするならばひとつの安定性を担保することになる。しかし、この思いが高じると、いつしか、「会社は給料を保障してくれるのが当然である」という勘違いが起こってくる。さらには、福利厚生など社員に対する恩恵も当然のことと考え、既得権意識さえ生み出す。ひいては無意味な他社と自社の比較を行い始めることになる。
 こうした勘違いは、企業組織への依存に留まらず、何時しか上司や周囲のすべての人たちにすら「何かをしてくれること」を望みはじめ、叶えられなければ、「自分は被害者だ!」と錯覚を起こすことにもなる。

 企業は従業員に給料を支払うために存在しているものではない。企業は顧客に対して商品・サービスを提供することで成り立っている。従って、企業で働く者は「給料をもらっているから働く」のではなく、あくまでも「顧客への商品・サービスを提供し給料が支払われる」という発想でなければならない。同時に自らの働きによって生まれた成果が問われなければならない。
 管理職は新人に対して先ず徹底的に理解させなければならない事柄は、「自らの給料は誰によって支払われているのか」という原理原則的な道理である。この道理を理解させることなく単に働くことに対して、美辞麗句を並べ立ても意味はない。むしろ、原理原則を教えずに仕事上での単に作業レベルの技能や手法の指導に終始することは、新人を愚弄することにもなる。

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