2011年08月22日号
経営者は常日頃から「会社のあるべき姿」を考えている。会社のあるべき姿を考えるのは経営者の専権事項でもある。では従業員は会社の姿や進むべき方向について考える必要はないのか。
もし「必要がない」あるいは「従業員の役割ではない」と考えるのであれば、自らの職務能力を決して高めていくことはできない。
経営者は、起業するに当たって事業を通して自らの目指す方向や思いを実現しようと考えている。こうした経営者の思いは、事業の進捗にともない、ある時はより大きく膨らみ、ある時は縮小を余儀なくされる。そして、事業の展開で発生してくるさまざまな課題や経営環境の変化への対応が必要になる。
こうした変化を反映しているのが「経営方針」というものだ。もちろん成文化されていなくとも、経営者の日常会話の端々から創業時の思いや決意などを察することができる。従って、「経営方針」とは、ある期間内において会社の進むべき方向などを示すものだ。
「会社のあるべき姿」のイメージは、経営者自身の持っている矜持の一つのあらわれである。同時にそこに働く者一人ひとりが持たなければならない矜持でもあることを忘れてはならない。
「会社のあるべき姿」のイメージは、それぞれの個人の持っている「価値観」にも通ずるものだ。そこで職位・役職を超えて一人ひとりが「会社のあるべき姿」についてイメージして、それに向かって会社と自分自身が進んでいるのか否かを検証する必要がある。
時にはやむを得えない事情で会社の「経営方針」が、本来思い描く「会社のあるべき姿」から脇道にそれてしまうこともある。経営理念と現実の乖離ということが起こる場合もある。こうした状況に陥った時こそ、一人ひとりの従業員の真価が問われるのだ。仮に「会社の方針だから…」で済ませてしまうのか、それともあくまで「会社のあるべき姿」のイメージを忘れずに、現実を受け止めつつ「会社のあるべき姿」にこだわりを持つかだ。
あくまでも、本来的に「会社のあるべき姿」のイメージを忘れずに持ち続けることだ。山積する毎日の業務や目の前の仕事をこなすことで精一杯という現実から逃げてはならない。一人ひとりの「会社のあるべき姿」へのこだわりが、現状に流されない自らの働き方を構築するとともに組織全体を強くしていく。
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