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週刊Neue Fahne

2019年07月01日号

管理職自身が企業組織メンバーであることに安住してはならない

 いまだに自分自身の仕事やパフォーマンスを重視するのではなく、「どこの企業に在籍しているのか」を基準にしている者が後を絶たない。しかも、どこの企業組織で働いているかで、あたかもそのひとの価値が決まるかのような錯覚がまかり通っている。こうした傾向に対して「“就職”ではなく“就社”である」と批判が行われてきた。ところが学生は相も変わらず“就社”にこだわっている。さらに一部のマスコミも「〇〇ランキング」などという歳時記のような企画を展開してこの種の錯覚を助長させている。
  転職市場においても基準はあくまでも「年収の良い企業」「働きやすい環境」という類の基準がまかり通っている。こうした基準も仕事ではなく、あたかも企業の「メンバーになること」ないし「メンバーでいられること」でことを前提にした発想である。

  新卒学生の就職活動現場でも「何処の企業のメンバーになるのか(なれるのか)」が最大の基準となっている。この結果、大手企業からの内定をもらえない学生でも、採用意欲のある中小企業には見向きもせず、ブランド企業に就職を希望するという状況が依然として続いている。つまり、日本では、「いかに世間でいうよい会社に就職するか」に職業選びの重点が置かれているということだ。
  さらには、「安定している」「成長している」「将来、安泰であると思われる」といった条件が、その会社で何をやるのかより重視されているということだ。こうした学生たちの傾向を「困ったことだ…」と批評していては他人事だ。今日企業組織の中核を担うはずのミドル層は、自分自身の中にも「会社という組織に安住してしまっているかもしれない…」という危険な兆候を見つめ直してみることが必要だ。

 そもそも企業組織はブランド名や売上規模、まして怪しげな格付けなどで優劣が決まるわけではない。同時に会社組織が自分の仕事を保証してくれるのではなく、自らの行っている仕事の内容が「どこででも通用する」ということが重要だ。営業職、経理職、人事・総務職、あるいは生産現場での優れた技能…、どの分野であれ、自分がどのレベルに達しているのか、という判断基準を自分自身で持っていなければならない。
  メンバーであることに満足するならば、結果として「普通であることに満足を感じる」という傾向が強まる。また、他人と変わることなく「並」であることに美徳を感じることになる。これでは自らのパフォーマンスを最大限に発揮させようという意識にはならない。精々のところ自分の置かれている状況を他者と比較して憂いてしまうのが関の山だ。

  仕事で通用するのは、出身学校や前職での経歴や肩書ではない。武器となるのは、企業組織において自らの頭で考え、自らの判断基準で行動し、組織全体に貢献していくことができるという能力だけである。そして、この能力は決して経年で蓄積されるものではない。
  単に自分が勝手に思い込む「就労条件の良い企業組織」に在籍していることへの満足は、文字通り“就社”意識から一歩も出ないということだ。こうした意識は必然的に「会社が○○をしてくれない」という愚痴の温床ともなる。周りから認められるためには、企業組織という枠を超えて仕事での自分の行動規範をつくりだすことだ。

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