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週刊Neue Fahne

2019年09月09日号

組織マネジメントの基本は役割を演じる関係性の構築

 組織における業務は基本的に指示と命令で成り立つ。つまり指示・命令を発す側とその指揮下で業務遂行を展開するという上司・部下関係が存在するということだ。従って、上司の側には部下を動かす権限が組織から与えられることになる。言い換えれば、上司は組織から部下を動かすパワーを与えられている。
  しかし、このパワーは役割に与えられているのであり、決して個人のものではない。つまり、上司は個人的なパワーで部下を動かしていると錯覚してはならない。上司の側はこの基本をはっきりと意識しておかなければならない。

  業務遂行において「上司の側が部下よりも圧倒的に能力が勝っている」ということが前提であれば、上司の側からするならば、部下の行動は未熟で能力が低いと見えるのが当然である。しかし、指示・命令は上司の側が優れているから部下に指示や命令を発する権限があるのではない。あくまでも役割として権限が与えられているに過ぎない。
  上司の側が優れているから指示・命令を発することができるわけではない。にもかかわらず指示・命令を発する権限の行使には、ある意味で“自分が他者を動かすことができる”という「摩訶不思議な魅力」を上司に与えてしまうことがある。この魅力に取りつかれてしまう上司ほど、自らを「裸の王様」にさせる。

  上司の側が部下に対して仮に「思いつき」で指示・命令を発したとしても部下は、基本的にその指示・命令に従うものである。このため指示・命令を発する権限が個人的なパワーであるという錯覚に陥っている上司は、「部下は自分の思い通りに動くものである」という歪な上下関係意識を持つようにもなる。
  こうした錯覚に基づく歪な上下関係意識が積み重なると、部下はやる気をなくしていくことになる。部下が上司の指示・命令に従うのは、合理性と一貫性が備わっているときである。納得性を与えることができない指示・命令には、部下は面従腹背することになる。部下に対して実行すること(しなければならないこと)の意味と意義を明確に提示できない指示・命令は、部下に対して単なる徒弟関係意識を求めていることになる。

  組織において上司の果たす責任は、指示・命令の関係を単なる徒弟関係にさせてはならないということだ。上司にとって部下は組織から預かっている最大の資源である。しかもこの最大の資源には感情が存在している。上司が部下に対して常に「自分には権限がある…、部下は未熟だ…、部下は上司に従うものである…」というスタンスで接するならば、間違いなく部下からの反発を招くことになり、組織としての生産性が向上することはない。
 組織における対人関係とは上司と部下の双方が互いに蓄積された共感能力に規定される。上司にとって指示・命令を含むマネジメント業務とは、常に問題を発見して“唯一の正解などが存在しない問題”を解決していくことだ。組織性を発揮させて業務を展開していくためのマネジメントとは、組織を構成する個々の業務遂行能力の向上を踏まえながら、互いに役割を演じ合うという関係性を堅持することが重要となる。

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