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週刊Neue Fahne

2020年01月27日号

新人を「困った君」にしてはならない−2− 適時・適切に具体的な指示を出す

現場マネジメントは新人・若手に対して「いちいち細かく指示しないと動かない」と愚痴を繰り返しても何も解決しない。何故ならばこうした発想はいまだに「部下は、指示・命令である程度は動くもの」という固定観念に囚われているからだ。こうした固定観念に囚われていると現場マネジメントはいつまでたっても職場で部下からの「どうしましょうか」という質問に苛まれることになる。
  もっとも「どうしましょうか」という質問は何も新入社員や若手社員に限ったことではない。実は企業組織内のあらゆる職位において下位の者から上位の者に対して「どうしましょうか」という質問が溢れている。つまり、一つ一つの事柄に対して自ら判断することなく上位に判断を委ねる姿勢が蔓延している。

  新人が仕事の進め方に対して上司・先輩に「どうしましょうか」としつこく質問してくるケースがある。しかし、こうした新人に対して現場マネジメントが「指示待ち」とレッテルを張るのは誤りである。むしろ「指示の出し方」に問題があると捉える必要がある。新人に対して適切な指示を行わずに「もっと自分で考えて仕事をしろ」などと批判するのは、新人の成長に責任を持たない怠慢さのあらわれである。
  新人への適時・適切な指示を怠っておきながら「仕事は自分で覚えるもの」であるとか「仕事は自分で作りだすもの」などいうのは繰り言に過ぎない。今日ではこうした意識を保持している新人は稀有な存在である。多くの新人は「マニュアルにそって仕事を進めれば、必ずそれなりの成果が得られるものである」あるいは「やり方を教えてくれさえすれば相応の成果が得られる」と思考する傾向が強い。さらにいえば上司に対する報告も求められればするが、求められなければしないという傾向もある。

  こうした新人の傾向を職場に蔓延している既存社員の「指示待ち姿勢」と同一視してはならない。現場マネジメントが新人に施すべきことは、マニュアルレベルの具体的できめの細かい指示・命令の出し方をする必要がある。例えば報告も、求められればするのだから、どの段階でどのような報告をすればいいかを指示してみることで、徐々にそのタイミングをつかませることができる。直截にいえば「面倒くさい」ことを教えなければならない。
  併せて指示する場合に、細かく与える仕事の「重要度」「緊張度」「難易度」を総合的に考慮する必要がある。要求度が高い仕事ほど、できるだけ細かい指示が必要になる。もちろん、新人を育てるためには、いつまでも事細かに指示を出しているだけでは、本当に「指示待ち姿勢」に染まってしまう。納期に充分な余裕がある場合は、教育のためと割り切って、「やり直し」を前提に、大雑把な指示を出し、出てきた結果に対して教育的指導をすることも必要となる。

  現場マネジメントは「世代間のギャップである」とか「今どきの若者だから…」、などという曖昧な解釈に逃げてはならない。現場マネジメントは、これまで習慣化してきた「解っているはずだ…」「一を聞いたら十を知る」などいう自らの経験則に裏打ちされた指示の出し方や接し方を改める必要がある。個々の新人の状況に対応した指示を出していかなければならないということだ。何故ならばマネジメントとは常に「状況対応」であるからだ。
 現場マネジメントに必要なのは「今ここで何をすればいいのか」「どのタイミングでどのように働きかければいいのか」を常に考えるということである。さもなければ新人はいつしか職場に蔓延している「指示待ち」という姿勢に染まることになる。最も新人と接していく場合には、現場マネジメント自身の業務姿勢の中に蓄積されてしまっている「指示待ち姿勢」を払拭していくことが前提でもある。

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