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週刊Neue Fahne

2020年02月03日号

新人を「困った君」にしてはならない−3− 上司自身が仕事への責任ある姿勢を示す

企業組織内にワークライフバランスという口実を用いた「仕事より私生活の都合を優先させる」という風潮が若手・新人に限らず蔓延し始めた。また、「結果(成果)には無関心で頑張ったプロセスを評価してほしい」という傾向も強まっている。
  さらには、組織全体を俯瞰して仕事を展開する意識が欠如して、仕事に対する切迫感がなく、ことあるごとに「それは自分の担当ではない」という意識で全体とのかかわりを遺棄する傾向も目立ち始めている。これらは「働き方改革」を自分勝手に都合よく解釈しているに過ぎない。

 そもそも労働契約とは会社と個人の間での「双務契約」である。一方的に雇用者が有利な片務契約ではない。仮に約束した期限に仕事が終わらなければ契約違反になる。もちろん何もかも「会社のために」「組織のために」などという滅私奉公である必要はない。こうした発想は自分自身を組織に仮託してしまうことになるため、むしろ危険でさえある。一方で自らを組織に仮託することは本人にとっては楽な道でもある。何故ならば自分の頭で考えることなく、単に上からの指示を待っていればよいからだ。
 上からの「指示待ち」は「仕事への意欲が足りない」のではなく、無批判に上からの指示を鵜呑みにする「事大主義」を招くことにもなる。さらには自己保身の心理から、上司を含めた立場が上の人間の心情を汲み取り、「公正さ」に対する判断を欠いた行動に無自覚になる危険性さえある。

  個々人の仕事への意欲というのは、残念ながら急に高まるものでもなければ、自然に形成されるものでもない。上司が単純に「将来はこうなるだろう」ということを漠然と示すだけでも意味がない。部下に対しては、会社が現在どういう状況にあるのかについて、分かりやすく説明することが重要である。
  肝心なのは “組織は単なる共同体”ではなく、“共通の目的の下で個々人の協働意欲によって成り立っている機能体である”という考えを徹底することだ。そして上司は仕事の目的と意義を明確に示しながら常に相互確認をしていかなければならない。同時に自分たちの仕事がどう位置づけられるかを明確にすることを怠ってはならない。

 私生活を重視することは大切であり組織に自らを埋没させる必要はない。しかし、組織体を構成する個人として、自らに課せられた事柄に対して「責任をもって取り組む」という姿勢を醸成させることが重要である。こうした意識の醸成は、上司自身が将来に対して誠実かつ確実に努力しているという姿を若手・新人に見せなければならない。
  上司の行動が、言葉とは裏腹に目先のことだけに追われているようであれば、部下の意欲は高まるどころか、逆効果になってしまうばかりである。上司自身が会社組織の将来や仕事の先行きを自らの仕事への姿勢を通して明示することである。

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