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週刊Neue Fahne

2020年03月02日号

新人を「困った君」にしてはならない−5− 上司と部下の健全な関係性を構築する

上司が重要と感じている事柄と部下が重要と感じている事柄が、必ずしも一致しているとは限らない。このため、部下の仕事内容が上司の求める成果物と異なるケースが往々に発生する。上司はこのような場合に部下に対して、「なんでこうなる前に相談をしないのだ」と怒りを覚えることになる。
 上司にとってこの種の齟齬が発生原因は、部下の独断による仕事ぶりにあると考える。そして「なぜ、聞くべきことを聞かずに仕事を進めてしまうのだ…」と不信感を抱く。また、部下の側のコミュニケーション不足を嘆くことになる。あるいは直接的に不満を吐露することにもなる。しかし、これは単に部下の側だけの問題ではない。

 上司が部下の仕事ぶりに感じる不信感の多くは、“部下が上司の側の思い通りに仕事を進めていない”ということに尽きる。このため、時には部下に対して最初からやり直しを命じたりする無駄も発生する。この結果仕事の完成度も不充分なまま期限になることにもなる。上司の言い分は主に「なぜ、途中経過を報告しないのだ…」との思いとともに“察しが悪い”“気配りが足りない”というものだ。
  しかし、いくら部下の“察しの悪さ”や“気配り不足”を嘆き、上司が留飲を下げたとしても単なる感情的な対応に過ぎない。まして、「なぜ、このようなことがわからないのだ」と上司の側の偏狭な経験則による仕事の進め方を振り回しても解決できない。何よりも部下育成の点からも単純な経験則は全く意味がない。

 上司が部下に対して行う指導ポイントは、分からないことに問題があるのではなく、“分からないことを、質問して分かるようにする姿勢が欠如している”ということを理解させることである。同時に上司は“自らの指示の出し方に問題がある”という内省の姿勢を持つ必要がある。極端にいえば上司は自らが部下に指示を出した時点で、部下から質問がないこと自体がそもそもおかしいと思わなければならない。何故ならば、部下は上司からの指示に対して、例え疑問点があったとしても「わかりました」と答えてしまう心理が働くからだ。
  上司がよほど事細かに指示を出したのなら別だが、仕事の指示を部下に発した時点で、部下がすべて上司の意図を把握できることはあり得ない。上司の発する指示にはある種の権威性が付与されている。このため、部下はわかっていなくとも、とりあえず「わかりました」と答えざるを得ない状況になる。また、「わかったつもり」にもなる。仮に上司の指示を受けてすべてを把握できる部下であるならば、そもそも上司と部下の関係性は存在しない。

 部下は上司からの指示に対して確かに、その場では「わかったつもり」あるいは「わかったふり」をして仕事を進めるものである。そしていざ取りかかろうというときになって、あるいは取りかかってみて、「ここはどうすればいいのだろう」という疑問が湧いてくる。問題は、この段階で「まぁいいや」とばかりに独断で仕事を進めてしまうのか、上司に改めて質問をするのかが大きな分岐点となる。
 この分岐点において上司・部下がともに相互の理解を確認し合える健全な関係性が存在するか否かが重要となる。ただし、この関係性を構築する責任は上司の側にある。有り体にいえば、部下が上司に対して仕事の進め方に対して訊きやすい職場環境づくりを行うのは、上司の側の責任である。

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