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週刊Neue Fahne

2020年06月01日号

分岐点に立つ覚悟-1- 過去に囚われず“自ら過去に決別する”

全世界を席巻している新型コロナウイルスに伴う時代変化は、否応なく社会の諸制度や構造に大きな変化をもたらす分岐点となる。企業組織に身を置く者にとっては、ポストコロナ社会に備え自分が置かれた状況を徹底的に見つめ直し、“今、自分に何が求められているのか”“今後、自分は何をなさなければならないのか”を果敢に思考していくことが迫られている。
 ポストコロナ社会では、企業の規模の大小に関係なく一般的にリストラと呼ばれる雇用調整が焦眉の課題になっている。企業組織に身を置く者はこの冷厳な事実を自覚しなければならない。だが、多くの従業員なかんずく管理職層には、この意識が希薄である。まして、在宅勤務中に自分の部下を無理やり誘って「リモート飲み会」と称するものなどに興じている者などは論外だ。

 何時をもって新型コロナウイルスが終息するかは別問題として、失業者は現在進行形で日々に増加している。日本はしばらくの間2%台の失業率で推移し、ある種の「完全雇用」の状態といわれてきた。しかし、新型コロナウイルスの影響により、今後は失業率が7%〜10%台にまで拡大するという計算もある。ただし、これは今後予測される企業の事業縮小や倒産、廃業等によって直接的に職をなくする人の増加を反映しているに過ぎない。
  この種の失業者増の中には、内部労働市場に存在している企業内失業者が今のところ直接的に含まれているわけではない。しかし、新型コロナウイルスが終息していく過程とは、企業内に潜在化している余剰人員が顕在化してくる過程でもある。この過程は必然的に個別企業における雇用や仕事の在り方に抜本的な変化を迫ることになることは必定である。

  雇用や仕事の在り方の抜本的な変化とは、経営的な視点に立つならば部分最適にとらわれず、全体最適の観点から、“働かせ方”を再構築していくことである。当然のことながらこれは、企業内余剰人員の物理的解消に向けた動きの加速を伴うことになる。一方で個々人にとっては、自らの働きと企業組織との雇用関係の在り方を再考する視点が求められてくることを意味している。
  これは一人ひとりの働きにおいて、経営的な視点に立って自らの存在を捉え返していく姿勢が問われるということでもある。さもなければ、これから始まるであろうさまざまな変化プロセスを単純に受け身でとらえることになる。悪くするならば時代の被害者として自らの存在をネガティブに捉えて、変化に翻弄されることになる。

  ポジティブに捉えるならばポストコロナ社会は過去の自分と訣別していくため、意識と能力を変化させていく好機である。しかし、言葉でいうのは簡単だが、長年にわたる社会環境に規定された就労意識や価値観に対する自己革新は実際に相当な困難を伴う作業である。そこで、先ずは“過去の自分を忘れ去る”ということから始めていく必要がある。つまり「現状維持バイアス」から自らを解放していくため、他者の批判を真摯に受け入れることを恐れないということだ。
  時代の分岐点において一人ひとりに問われるのは、これから起こることになる雇用や働き方の変化に対して、長年の慣習や諸制度に対して、あくまでも“リスクヘッジ”を思考するのか、あるいは時代変化の分岐点で“リスクテイク”に踏み出す勇気と覚悟を持つのかという選択である。

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