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週刊Neue Fahne

2021年02月15日号

ジョブ型雇用を踏まえた働き方 -20- 自分の将来に対して明確な責任を持つ

1991年以降、日本では「失われた30年」と形容される時代が続いている。この間中国の台頭によりかつてGDP世界第二位の経済大国は第三位となった。この順位は元に戻ることはなく早晩第四位となることは必至である。また、この30年は戦後日本の単純な経済成長概念を問い直す契機ともなった。
  この30年では雇用に関して正社員と非正社員の賃金格差の拡大も含め、さまざまな問題点や矛盾も噴出している。さらに今般の新型コロナウイルスによるパンデミックは、日本社会全体の先行きを不透明にしている。

  こうした状況から日本の経済社会に対するある種の悲観論が蔓延している。雇用問題についていえば、「働き方改革」の名のもとに各種の労働法制の転換がなされてきた。しかし、全就労人口の中に占める正社員の率が三分の一という現実は一向に解消することはない。日本の就労者の「三分の一が非正規雇用者」というが、そもそも「正」と「非」という雇用形態それ自体の是非が問題であるわけではない。もちろんセーフティーネットに関しては別問題として論じられなければならない。ただし、正規であろうがなかろうが、自らの将来に責任を持った働き方をしているか否かが問われるべきだ。
  正規だから「安定している」、不正規だから「不安定だ」と発想してしまうことが、自らの働きの意味付けを曖昧にしてしまう。社会全体に対して安全や安心を提供するための仕組み作りの課題と、雇用形態を混同してしまうのは誤りだ。また、コロナ禍が収束したとしても残念ながら今まで通りの予定調和が通用するわけでもない。問われなければならないのは日本の雇用システムだ。

  企業を取り巻く外部環境はますます変化している。コロナ禍はこの変化に加速度をかけることになったことだけは確かである。単にテレワークの定着などに留まらず、今後の日本社会を規定してきた雇用システムも大きく変化することになる。同時に大きく社会の枠組みが変動していく只中で、すべての働く者に「自分自身が働きの主人公である」というポジィティブな思考が問われている。
  自分自身が働きの主人公であるとは、陳腐な「自己責任論」等ではない。あくまで自らが自主的に判断、行動して社会全体にも貢献していく気概が求められる。つまり、「自分が行っている仕事には何の意味があるのか」「自分の仕事は世の中に対してどのような価値を提供しているのか」という目的意識性が求められるということだ。

  過去も現在も、そして未来も自らが働きの主人公はあくまで自分自身である。これは他人に自分の人生を託して生きていくことはできないということでもある。そして自分の将来に責任を持つためにも自らの働く意味づけを持たなければならない。何故ならば「働くこと」とは、雇用形態や組織人か否かを問わず、自らの行動が周り(社会)に対して、役立っていることを実感していくことであるからだ。
「働く」とは自らの成長に責任を持ち、他者に仮託することなく人生を無駄なく過ごしていく意味で、人間の根源的な欲求であり、生きているということの証に他ならない。そして、自ら何かを成し遂げたいという意欲の表れであり、誇りと責任をもって他者に自らの働きを伝えていくことでなければならない。

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