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週刊Neue Fahne

2021年10月11日号

高齢者雇用と中高年の再就職 −5− 継続雇用基準の明確な設定

定年退職にともなう再雇用制度の対象者は、高年齢者雇用安定法の改正により「希望者全員を対象とする」ことになっている。このため定年退職を迎える者の一部に「定年後も会社が自動的に仕事を用意してくれるもの」と期待や錯覚を起こしかねない。しかし、こうした意識に留まっている高齢者は、仮に継続雇用されても職場内で浮いた存在になるのが関の山だ。
  再雇用制度とは定年によって一旦解消された会社との「労働契約」を新たに結び直すということである。しかも高年齢者雇用安定法は、再雇用制度による雇用者を定年前とまったく同じ労働条件で継続雇用することを義務付けているわけではない。従って、定年退職者にとって、継続雇用とは「60歳以上を対象とした中途採用と同様である」と認識しなければならない。簡単にいえば再雇用制度とは、定年退職に至った高齢者が同一企業の募集する「高齢の契約社員募集にエントリーするということができる」ということだ。募集である以上は必ずしも全員の採用が保証されているわけではない。

  一般的に企業が中途採用する場合に求職者に求めることは、業務を遂行することができるスキルや経験である。新卒採用と異なり「成長の伸びしろ」などというあいまいな基準ではない。有り体にいえば即戦力として活躍できる人材である。まして60歳を超えた者の中途採用であればなおさらである。しかも継続雇用の場合の「労働契約」は、1年ごとに契約を更新するフルタイム有期雇用契約社員(嘱託社員)としての雇用形態である。
  再雇用制度によって企業に雇用される前提になるのは、退職前のそれ相応の能力の評価である。雇用者たる企業は定年前の働きや能力を評価したうえで、選別的に継続雇用者を決めることができる。能力の中にはスキルや経験以外に対人関係能力も含まれる。極端にいえば在席している年下の従業員から「この人と一緒に仕事をしたくはない」と思われているようでは、仮に継続雇用されたとしても職場から浮いた存在になることは間違いない。

 定年退職前の自らの職場における位置づけを正しく認識している者は、継続雇用後においても自らの果たすべき役割を承知することができ、周囲との良好な関係を保つことができる。退職前に自分が果たしてきた役割を自己認知できている者であれば、定年を契機に身を引いて独立の道を模索したりすることもできる。
  厄介なのは退職前の自らの働きに対して過大な自己評価をしている者や周囲からマイナスの評価を受けていることに鈍感で妙にプライドの高い者が継続雇用されることである。こうした者達が継続雇用されて職場に跳梁跋扈するならば、日常的に退職前の職位と継続雇用での処遇の比較や過去の自慢話の繰り言を連発することになり、職場にとって負の影響をまき散らすことになる。古臭い表現だが「一兵卒に降りる」という勇気のない継続雇用者は、職場の“お荷物”以外の何物でもない。

 企業が定年後の従業員を継続雇用するにあたり備えるべきことは、継続雇用の対象となることができる明確な基準を設けることである。この基準を設定して「全ての退職者が自動的に継続雇用されるわけではない」ということを周知する必要がある。もちろんこの基準は「会社が認める者」などという抽象的で恣意的なものであってはならない。また、性別による差別など改正法の趣旨反するものであってはならない。当然のことながら継続雇用された従業員の高年齢化が組織に与える弊害にも配慮しなければならない。意識的に退職前とは異なる業務への配置転換も考慮する必要がある。さもなければ長期にわたり同じ業務に就く者が増加し、若手のモチベーションをそぐ状態が発生する危険性もある。
  今後の産業構造の変化や新しい動きに臨機応変に対応するためにも継続雇用の基準を明確に設定する必要がある。このためには一定の年齢に達した従業員一人ひとりに対して、相当に早くから再雇用制度を活用する場合に必要な意識や発想の変化を促していかなければならない。再雇用制度による採用基準を明確に理解させ、雇用形態の変化に伴う待遇・報酬の変化につての合理的な説明を行ったうえで再雇用制度による継続雇用を選択するか否かを自分で判断させていく必要がある。

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