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週刊Neue Fahne

2021年10月18日号

高齢者雇用と中高年の再就職 −6− 継続雇用と正規・非正規雇用

今回の改正法は、従来の企業内の正規社員と非正規社員との格差問題にも、一石を投じるものとなる。企業の側が定年後の継続雇用者に対して、契約社員で雇用し従前と同じ業務に従事させ、「給与を大幅に切り下げる」という措置を取るならば、同一労働同一賃金に反することになる危険性がある。
  継続雇用者に対して企業の側が定年前と類似の業務をさせつつ、定年前よりも賃金を下げる対応が「同一労働同一賃金の原則に反する」との訴訟も相次いでいる。また、これを避けるため、継続雇用者に対してあえて不得意な業務に配置転換すれば、今度は不当配置との誹りを受ける可能性もある。

  企業にとっては定年退職後の継続雇用者への対応は、「同一労働同一賃金」との関係性を踏まえた慎重な措置が必要となる。ひと昔前であれば、定年を迎えた従業員が退職前の賃金よりも低い賃金で引き続き嘱託で勤務し続けることに誰しも違和感がなかった。直截にいえば企業の側も継続雇用者も「嘱託だから賃金が下がるのが当たり前である」という暗黙の了解があった。
  しかし、最近の労働法制の流れは、こうしたある種の牧歌的とも思える対応では済まない状況になっている。企業の側は単に法律を遵守することに汲々となるのではなく、自社の今後の人事マネジメントを如何に展開していくのかという視点に立たなければならない。いくら努力義務とはいえ、仮に定年制度が60歳の場合には定年後から70歳までの10年間にわたり高齢者を雇用するというリスクを如何に軽減していくのかという課題に直面する。

 定年退職者に対する継続雇用の問題は、日本の企業が抱えてきたある種の宿痾的課題でもある。つまり、「日本的経営」を踏襲し続けるのか否かに対して、個別企業が自らメスを入れていかなければならない。これまで多くの企業は正規雇用の雇用を維持せんがため、人員の充足を正規雇用ではなく非正規雇用で対応してきた。正規社員の雇用はできるだけ守りつつ、その調整を非正規雇用で賄ってきた。
  非正規雇用を業務量の変動に際して雇用調整ができる文字通り「雇用の調整弁」として活用してきた。極論すれば「日本的経営」は正規雇用に対する雇用維持の名目で非正規雇用を必然的に産み出してきたことになる。正規雇用者は非正規雇用の存在で自らの雇用が守られてきたわけだ。しかし、定年退職者の継続雇用とは基本的に非正規雇用である。

  企業にとっては「日本的経営」の下で年功賃金を採ることにより、定年時の給料がパフォーマンスに比べて払い過ぎているという現実を受入れざるを得ない状況に甘んじてきた。そこで退職後の継続雇用への移行ではその調整をしなければならない。概ね年功賃金による退職前の給料との比較で3割程度下げてきた。3割程度下がった賃金が同質の仕事をしている非正規雇用者と同額であるならば「同一労働同一賃金」に抵触しないであろう。しかし、賃金が下がって正規雇用から継続雇用に移行する者に下がる理由を明確に示す必要がある。
  一方で継続雇用に移行した者の中には、これまでのパフォーマンスを顧みることなく、「著しい不利益変更」と主張する者もいる。そこで、定年を控え継続雇用を予定している者に対しては、これまでの「日本的経営」に基づいた雇用制度や賃金体系が正規・非正規雇用という社会問題を産み出す原因でもあったという「そもそも論」を説いていく必要がある。さらにいえば退職を控えた者だけではなく、ある一定の年齢に達した正規雇用者全員に対して、継続雇用という非正規雇用への移行を自覚させていかなければならない。

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