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週刊Neue Fahne

2021年11月01日号

高齢者雇用と中高年の再就職 −8− 鍵となるのは企業内人材育成の転換

「高齢者の声が通りやすい政治」の総称として「シルバー民主主義」という言葉がある。この傾向は実のところ日常の職場での年長社員の言動としてもあらわれている。このあらわれの最たるものが、中高年社員による若手社員に対し発せられる「最近の若手社員は…」と揶揄する発言だ。また、現在の自分のパフォーマンスや力量を顧みることなく、“自分たちの給与は若手よりも高くて当然である”という「年功序列賃金」への切ない憧憬である。
“自分たちが若いころは苦労したのだから若手が苦労するのは当然だ”という発想も同様だ。こうした意識に留まっている限り、適切に若手社員に対して自らの業務経験を伝承させることなどできない。いくら本人が真面目に仕事をしているつもりであっても、若手社員から“働かないおじさん”と疎んじられる。

  役職定年した元管理職というかつての上司を部下に持つ管理職が増加している。なかには継続雇用の元管理職がかつての部下である新任管理職の指揮命令を無視するなど“不良中年社員化”するケースも発生している場合もある。正に「シルバー民主主義」ならぬ職場での“中高年民主主義”的な立ち振る舞いが、職場に不協和音を生み出しているということだ。職場における年齢構成の上昇は、ますます職場マネジメントを複雑にしている。
 こうした現象を個々の高齢社員の責任に帰すことはできない。なぜならばこの種の意識は、社会的な意識に規定されつつ大小を問わず長く戦後日本の雇用慣行に根ざしているからだ。このため単に一企業内の問題だけに限定できることでもない。高齢者雇用安定法の改定に伴う継続雇用者の職場内での処遇や役割については、日本的雇用慣行の悪しき因習からの脱却という課題である。従って、戦後日本の雇用構造を転換していく視点が必要となる。

  一方で雇用構造全体の転換を待たずに個別の企業において最低限できることがある。それは従前の慣習的な社員育成法を転換することである。これまでの育成は基本的に経年によって職務遂行能力が上昇するということが前提であった。このためビジネスマナーを含めた働く姿勢やスキル全般の育成は、主に若手や中堅に施されるのみであった。
  中高年社員に対しては自らの働く姿勢等に対する時代に即したマインドセットはなされてこなかった。極端にいえばビジネスマナーを含めた働く姿勢やスキルは、本人の意識的な再学習行為がなければ経年によって逓減する。継続雇用者の職場内での処遇や役割を明確化していくためには、企業内の人材育成手法の転換が必要となる。

  継続雇用者を活用するにあたり第一に留意しなければならないことは、退職時期に至る前から明確に再雇用の段階での自らの役割認知や働く姿勢をしっかりと自覚化させる必要がある。決して自動的に「働き続けることができる…」という意識ではなく、継続雇用後の自らの働き方、果たすべき役割と目標設定をしっかりとイメージしてもらわなければならない。
  今後は一定の年齢に達し昇進機会が期待できず、職位も固定されている社員に対しての再教育が重要となる。また、現場マネジメントの側が継続雇用者と適切に向き合う能力を磨く必要もある。つまり、現場マネジメントは、再雇用者に対して「何を求めるのか」「何を期待するのか」「何を目的とし、どのような目標設定をしてもらいたいか」という点を明示化して、本人と相互確認するマネジメント力の強化である。現場マネジメントが継続雇用者に「今まで通りの仕事をしてもらう」という安易な姿勢をとることはマネジメントの放棄でもある。

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