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週刊Neue Fahne

2022年03月14日号

己の働き方を再考察 −9− 忖度と社内政治を排し全体最適の追求

企業組織は単なる共同体組織(家族・地域社会)ではない。また、クラブ活動や同好の士の集まりでもなく、あくまでも利益を追求する機能体組織である。企業の組織体には様々な役割に応じた部門・部署が形成される。しかし、組織体の構成員一人ひとりは往々にして自分が属する部門・部署の最適性にのみ目が向かいがちになる。つまり帰属意識が高じていつしか内向きの思考へと転化する傾向がある。
  こうした傾向に陥るのは、企業組織を構成する一人ひとりに「企業組織はそもそも何のために存在しているのか」という原点があいまいになるからだ。企業組織が存在する理由は有益な商品・サービスの提供を通して、「社会にとって不可欠な存在になる」という1点に凝縮される。この視点に立つならば企業組織は部門・部署間の最適ではなく、あくまでも組織全体の最適を指向していかなければならない。

  全体最適の妨げになるのは部門・部署間のセクショナリズムである。いまだに企業組織内においてあたかも「利益を生み出す部門」(プロフィットセンター)と「利益を生まずコストとなる部門」(コストセンター)が存在するかの意識が蔓延っている。こうした意識の存在は企業組織の果たすべき本来の役割である「社会にとって不可欠な存在になる」からの逸脱を意味することになる。この意識は結果的に部門・部署間での忖度と社内政治を横行させることになる。
  もちろん全体最適に向けての潤滑油としての「根回し」や「調整」(妥協)が必要な場合もある。しかし、企業組織内での「根回し」や「調整」(妥協)という行為は、あくまでも内向きのエネルギーである。ところがこの行為を熱心に行うことをあたかも「自分の中心業務」であるかのような倒錯が生まれる場合もある。すると次第にこの行為が本来外部の市場や顧客に傾注させるべきエネルギーを凌駕し始めることになる。

  部門・部署間のセクショナリズムの存在は、内向きのエネルギー放出に魅了されて社内政治にのみ長けた者を跋扈させることになる危険性もある。社内政治に長けた者の特長は、社内政治の展開それ自体を「仕事である」と勘違いし嬉々として行うことにある。企業において正しい行動は一つしかない。それは自分の部門・部署の部分利益ではなく、「何が(どちらが)企業全体にとってより利益になるか」である。
  この視点が全ての判断基準、価値基準でなければならない。社内政治の横行する要因は部門・部署間が分断されて情報流通に澱みが発生してしまうからである。組織内において部門・部署間を横断した健全な情報開示がなされているならば、社内政治に長けた者の出る幕もなくなる。

  企業組織での働き方の大前提は、あくまでも独立した一人の企業人として仕事に向き合うことである。そのうえで組織に属している以上は、組織利益への貢献に向けて組織を構成する各部門・部署の行動やプロセスを把握しながら連携して行動することである。この行動を堅持するために不可欠となるのが以下の視点である。
1.自分の「好き嫌い」という感情を一切排除して部門・部署を横断した連携に努める。
2.自分の提供できる情報を常にブラッシュアップする。
3.自分の意見と周囲の意見に相違があるならば安易に妥協しない。
4.自分の意見や考えを偏りなく開示することを恐れない。
5.自分の行動を律し他のメンバーとの間で不要な“しがらみ”を発生させない。

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