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週刊Neue Fahne

2022年03月28日号

己の働き方を再考察 −10− 組織内で縦断的かつ横断的な情報網の構築

 企業組織において正しいことは一つしかない。それは「何が(どちらが)企業にとってより利益になるか」である。企業組織での働きにおいては、改めてこれを自らの判断基準、価値基準でなければならない。もちろん目先の利益だけに囚われてはならない。社会・経済・政治、そして世界情勢を鑑みたうえでの利益追求でなければならない。利益を追求していくために必要なことは共通の目的と貢献意欲に裏打ちされた組織づくりである。
  これは単に“命令一下で有無を言わさず全員に同じ方向を向かせる”という単純なことではない。あくまでも独立して思考する一人の企業人として組織に関わり、企業の存続をかけて利益追求のための仕事を貫くことである。それには、組織内において自らが主体的に目的意識と当事者意識を堅持しながら“絶対にやり遂げる”という迫力を示していくことである。さもなければ全体に影響力を行使していくことはできない。

  巷間さまざまな組織論が展開されている。しかし、どれが正しく、どれが誤りということでもない。あくまでもそれぞれの組織が置かれた発展段階において、取るべき組織形態が異なって当然である。また、時代背景も大きく影響してくることになる。わずか数名の組織と相当数の人数による組織とでは、おのずと採用すべき組織形態が異なる。重要となるのは組織全体の方針を一人ひとりが「わが事」として正しく認識できるか否かが鍵となる。そして、組織方針を末端まで周知させる神経系統の確立が条件でもある。
  この神経系統とは組織方針を正しく、早く全体に伝達させるマネジメント機能である。組織においてマネジメント機能が弛緩、棄損するならば組織体が神経麻痺の状態に陥ることになる。組織体に神経麻痺を起こさせないためには、各級・段階でのマネジメント機能の担い手が、正に機関としてバイアスに陥ることなく機能していなければならない。

  規模の大小を問わず組織体は往々にして組織維持に向けた内向きの発想に陥る場合がある。内向きの発想は組織体を構成する個々の単位としての部門・部署にまで波及する。そしていつしか個々の単位も小宇宙と化して、組織全体の利害よりも自らの小集団の利害を優先し始め、小集団同士での利害対立が発生する。そしていつしか利害調整があたかも自らの仕事であるかのような錯覚も生れる。
  始末に悪いのは組織内の小集団間での利害調整は、あくまでも組織内部に限定されたことであり事業全体の成功と失敗、あるいは直接的な業績の埒外にあることだ。このため利害調整を担い手は安心して組織内での調整や根回しに時間とエネルギーを費やすようになる。これは組織体が往々にして陥りがちな死に至る病でもある。

 こうした病に陥らないためにマネジメント機能の担い手は、組織内において部門・部署を横断し、それぞれの単位での上下関係に関わりなく自分の周囲の人たちの思考方法、得手不得手、可能な限りの“人となり”(生育履歴)を観察し、「それぞれの価値観を相互に理解できる人」「自分にない秀でた能力やスキルがある人」「自分の抱えている課題について相談できる人」等との間でネットワークを構築することが重要となる。
  このネットワーク関係の構築においては相手に対する自分の好き嫌いという感情を一切封印する必要がある。つまり、“気心が知れた仲良し”という次元ではなく、広角的にアンテナを張り問題意識や矜持としている事柄について理解を深め合い、組織全体の視点に立って相互に情報交換ができる上質の関係を縦断的かつ横断的に構築するということである。

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