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週刊Neue Fahne

2022年06月13日号

時代認識と自己マネジメント-8- 指示を“明瞭な依頼書”として双方が確認

企業組織にとって“任せて安心である”と思う人材とは、自分自身で仕事の目的を明確に見定め、業務内容を明確に理解している人材のことである。同時に自分だけが理解しているだけではなく、その内容を他者に対して明瞭に説明し伝えることができることが求められる。これは新規に取り組む仕事に限らない。仮に日常のルーチン業務の内容であっても同様である。
  自分は「なぜその仕事をするのか」「その仕事を行う意味と目的は何か」を考えず、漠然と“処理”していては新たな成果は生まれない。当然のことながら自分の成長にもつながらない。また、GOALの位置を知らずに単に走っているだけでは、仕事にメリハリもつかず、目の前の事柄を処理するだけで終わってしまう。

  仕事の意味と目的、さらには意義を自ら理解し、他者に語れなければ周囲を動かすこともできない。結果として仕事は浮遊することになりスタート地点に留まり、いつまでたっても目的地にたどり着くことはできない。目的地とは成果物という意味だ。仕事に取りかかる前には、まず「目的」を明確化することが、成果を引き出すための最適ルートを探るということでもある。
  企業組織での働きにおいて自分自身が実行する仕事の目的を明確化させるだけでは意味がない。あくまでも他の部門部署を蔑ろにしていては目的地にいたることはできない。つまり、求める成果が部門や部署によってバラバラでは手順も仕事のスピードにも違いが生じてしまうことになる。結果として組織的な成果物を得ることはできない。

 企業組織での仕事は最初から最後まで一人で完結することはない。そこで、組織内での仕事の受発注が発生する。仕事を発注する側の立場の者が、受注する側の立場や状況に対して無理解であれば健全な組織間のやり取りができない。受発注者双方での認識の統一が不可欠となる。この点をあいまいにしているならば部門間連携など成立しなくなる。
  双方が「いつもと同じだから…」「おおよそこんな感じで…」という具合に、大雑把な“ニュアンス”や“結論”だけのやり取りが繰り返されている組織は、一見すると「阿吽の呼吸」で上手く回っているように感じられる。しかし、実際には「伝言ゲーム」と同じ結果が待ち受けているものだ。つまり、発注した側と全く異なる結果になるということが往々に発生する。

  部下の指導・育成にも同様のことがいえる。とりわけ個別の部下指導などでこの種「阿吽の呼吸」が横行するならば、ほぼ間違いなく部下から上がってくる成果物は、発注者たる上司の思惑と異なるものになる。指示を受注する側である部下とりわけ若手や新人は、発注者たる上司の「これをやっておいて…」というあいまいな指示に対しても、基本的に「はい。わかりました。」と応えるものである。そして、発注者である上司は部下から上がってきた成果物に「なんだ。これは。求めている内容と異なるではないか」と激怒する。そして次に「最近の…」という常套句を発することになる。部下にしてみれば明確で明瞭な指示がないため指示された事柄に対して、自分の感覚で処理をするものだ。
  この点を捉えて「何故、相談しないのだ」という発注側の言い分は当然である。受注側である部下が発注者である上司の目的や意味を理解することなく指示に対して「言われた仕事だから…」という姿勢に陥っているからだ。しかし、問題となるのは発注者が部下に対して明確な仕事の「目的と意味」を伝えているか否かである。極端にいえば組織内での仕事のやり方では、発注者である上司が外部の取引先に提出する依頼書や仕様書と同じような明確な指示書を部下に手渡し、相互に確認し合う手間を厭う行為は禁物である。

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