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週刊Neue Fahne

2023年11月06日号

マネジメント行動の再検証-19-コンプライアンスは職場ルール遵守に宿る

日本においてコンプライアンスはこれまで一般的に「法令遵守」と訳され理解されてきた。しかし、「コンプライアンス=法令遵守」と認識しているならば、「法律に違反していなければ問題にはならない」「法律に違反しなければよい」という発想に陥ることになる。コンプライアンスの概念からするならば、これは法連遵守は“誤訳”である。
  コンプライアンスとは「社会的要請への適応」という概念として捉えなければならない。しかも、今日ではコンプライアンスが企業活動にとって「所与の条件」になっている。コンプライアンスに対する取り組みは、企業組織が社会から退場を迫られないための経営課題だけではなく、全ての従業員の就労姿勢に関わる問題と位置づけなければならない。

  コンプライアンスは何らかの目的達成のためではなく、企業が社会からの信頼を維持し存在目的や存在価値を示し、社会的責任を果たしていくための諸々の実践行動として企業活動の前提である。従って、コンプライアンスを単に「法令遵守」で済ますことはできず、社会規範(社会通念)、社会倫理、企業理念、価値観、企業の就業規則(ルール・規範)も対象であると捉えなければならない。
  さらには企業内で決められている作業手順やマニュアル、顧客との取引規定や取引契約の遵守、現場マネジメントにおける各種の対処も含まれると捉える必要がある。この視点からするならば現場マネジメントは、職場でのルール遵守に対してあいまいな態度をとってはならず、まして職場の上下関係を意識するあまり遠慮や忖度をしてはならない。

  企業組織における就労現場にはさまざまな明文化されたルール・規律が存在する。また、明文化されてはいないが職場内において全員で良き規範として守られている「不文律の組織ルール」も存在する。組織ルールは組織を駆動させていく基本となるオペレーションシステムである。このシステムが組織内に浸透していない組織は、例え一人ひとりに優れた能力が備わっていたとしても一体性がなく、一度苦境に直面すると脆弱性が露呈し分解することになる。
  ルール・規律が守られていない組織には、そもそも誰もが知っておくべきルールが存在しているが、実際には周知徹底していないケースが多い。この結果、何がしかの問題が発生した場合に「私は知らなかった」「そんな決まりがあったことを聞かされていない」などという発言が多発する場合が多い。ただし、端的にいえば「知らなかった」ことに問題があるのではなく、「知らせていない」ことが問題なのである。

  企業が社会的要請に適応する前提は、職場組織で決められている事柄や敢えて明文化されていない事柄に対して先ずは周知徹底させることである。そのうえで「チョットくらい、いいだろう」という発想を払拭させていくことから始めなければならない。瑣末なことのようだが出社時間の遅刻に始まり、会議への参加の遅れ…など、日常的な業務行動姿勢の弛緩が咎められないという風潮が散見され始めたならば、それはコンプライアンス違反の兆候であると捉えなければならない。
  職場内でチョットしたルール違反が咎められないルーズな動きは、正に「蟻の一穴」である。次第に「何をやってもかまわないだろう…」という意識が蔓延する。あるいは「ルールに縛られていたら、いい仕事などできない」ないし「自分は特別だから…」などと開き直る者があらわれ始めることになる。現場マネジメントがこうした者の行動を見逃しているならばルールを無視しても構わないという悪しき規範(ノーム)意識が感染し、コンプライアンスが瓦解する。

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