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週刊Neue Fahne

2026年03月16日号

中小・中堅企業に内包する管理職人材の課題-7-人が育たない理由と管理職の責務

 企業組織の中で「管理職」という言葉は当たり前のように使われている。しかし改めて考えると、この言葉にはどこか違和感がある。管理職とは何を「管理」する存在なのか。多くの職場では、暗黙のうちにその対象は「人」だと考えられている。部下の行動を把握し、進捗を確認し、問題があれば指示を出す。場合によっては監視や統制の役割さえ求められる。
 しかし、人を管理の対象として扱う発想そのものが、組織の活力を弱めているのではないか。人は機械や設備とは違い、管理することで能力を最大化できる存在ではない。むしろ、能力を引き出し、成長を促す環境を整えることこそが、管理職の本来の役割である。人を管理するのではなく、人が育つ状態をつくること。それが組織を強くする第一歩になる。

 中小・中堅企業の多くは、人が育ちにくい構造が生まれやすい。採用の段階から、大企業とは大きな差がある。大企業には数千人、場合によっては数万人の学生が応募するが、中小企業では100人から500人程度のエントリーが一般的である。採用にかけられる予算や時間、人事体制も大企業とは比べものにならない。結果として、企業は限られた応募者の中から人材を選ばざるを得ない。
 その後も離職率は高く、20代のうちに退職する社員が少なくない。残った人材が30代前半で管理職になることが多いが、その過程で十分な競争や育成を経験していないケースも多い。こうして、必ずしも高いマネジメント能力を備えていない管理職が生まれやすい構造が形成される。能力の高い人材がいないわけではないが、組織としてそれを引き上げる仕組みが弱い。

 問題なのは、昇格をめぐる競争がほとんど存在しない場合が多いことだ。中小企業では20代から30代半ばまでに退職する人が多く、結果として管理職になる倍率は極めて低い。極端な場合には、同期がほとんど退職してしまい、「倍率一倍」で本部長や部長になることさえある。もちろん役職に就いたからといって、必ずしも十分なマネジメント能力が身につくわけではない。
 大企業では昇格の過程で多くの競争や評価を経験するが、そうした機会が少ない環境では、管理職自身が十分に鍛えられないまま部下を持つことになる。その結果、組織の中に「育てる力」が蓄積されない。優秀な人材の芽があっても、組織として伸ばすことができず、結果として人材の平均値が上がらないという悪循環が生まれるのである。

 現場で最も顕著に見られる問題が、管理職が部下を十分に教えていないことである。中小・中堅企業では、部下を「任せる」という名目で実質的に放置してしまうケースが多く発生する。背景には、管理職自身がかつて上司から体系的に仕事を教えられた経験が乏しいという事情もあるのだろう。しかし、仕事の基礎や思考の方法は、意識的に教えなければ身につかない。部下の状況や成長段階を把握し、手取り足取り指導することは決して過保護ではない。むしろ人材育成の基本である。
 もし本気で人材を育てたいのであれば、社長や役員、そして管理職が明確な方針を持ち、計画的に教育に取り組まなければならない。中小・中堅企業には潜在能力の高い社員が存在する可能性は十分にある。問題は、その能力を引き出せるかどうかだ。人を管理するのではなく、人を育てることに責任を持つ。それこそが、これからの管理職に求められる最も重要な責務である。

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