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週刊Neue Fahne

2016年06月06日号

管理職は職場に“中高年民主主義”を跋扈させてはならない

 ここ数年「シルバー民主主義」の弊害が話題になってきた。2016年7月の参議院議員選挙からの選挙権年齢の引き下げを契機にして、改めて活発に議論されるようになってきた。「シルバー民主主義」とは、有権者全体に高い割合を占める高齢者向けの施策が優先される政治のことだ。このため政治家も高齢者の声に耳を傾けがちになり、「高齢者の声が通りやすい政治」が現出したというものだ。
「シルバー民主主義」の弊害は、若年層の福祉が軽視されがちになるというものだ。待機児童解消が進まないのは、“直接的影響を被る層の得票数の少なさ”にあるという見方もあるほどだ。本来は構造的問題として議論されなければならない若者層を中心とした就労問題なども、高齢者の側が単純に「本人のやる気不足」「親の教育の問題」と安易な精神論を振りかざしがちな傾向も指摘されている。

 実はこの「シルバー民主主義」的なメンタリティーは、職場にも蔓延し始めている。このあらわれの最たるものが中高年社員による若手社員に対して二言目には「最近の若手社員は…」と揶揄してしまう傾向だ。また、現在の自分たちのパフォーマンスを顧みることなく、“自分たちの給与は若手よりも高くて当然である”と受け止めてしまう傾向もある。
 さらには、“自分たちが若いころは苦労したのだから若手が苦労するのは当然だ”と若手社員に対して自らの理不尽な振る舞いを顧みない現象もあらわれている。こうした中高年社員の振る舞いは、若手社員からするならば“働かないオッサン”と映るものだ。しかし、本人たちは、若手社員の反発を意に反すことなく自己主張を繰り返す。

 こうした現象は、日本的雇用慣行の悪しき因習として構造的に変革していかなければならない。同時に単に一企業内の問題として転換できるものではない。何故ならばこの意識は、小を問わず長く戦後日本の雇用慣行に根ざしているからだ。最近では高齢者雇用促進による従業員への雇用継続措置も職場マネジメントを複雑にする危険性を孕んでいる。
 とりわけ、役職定年した元管理職というかつての上司を部下に持つ管理職が増加してくる。なかには継続雇用の元管理職がかつての部下である新任管理職の指揮命令を無視するなど“不良中年社員化”するケースも発生している企業もある。正に「シルバー民主主義」ならぬ“中高年民主主義”的な立ち振る舞いが職場に不協和音を生み出しているということだ。

 もちろん、役職定年や雇用継続を契機にかつての部下のサポートに徹する中高年社員も多数存在するだろう。一方で管理職は今後、「老兵は死なず ただ消え去るのみ」の名言の後半部分を無視して、「老兵は死なず」と振る舞い若手社員の桎梏と化している中高年社員の存在を放置してはならない。今日の管理職は年齢に囚われることなく自らの役割を明確に認知して“中高年民主主義”的を享受するかつての先輩や上司たちに対しては毅然として接していかなければならない。
 仮に彼らに職場マネジメント上で横車を押すような振る舞いや行動があらわれたならば、管理職の職務権限を発揮しなければならない。管理職の職務権限は年齢ではなく役割に準じているのである。管理職がこの点を忘れたならば職場ガバナンスは一気に崩れることになることを肝に銘じる必要がある。同時に職場に発生する危険な“中高年民主主義”を抑制する唯一の手段は、若手社員に対する不断の育成であることを忘れてはならない。

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